あの頃キミは若かった。

 四半世紀ぶりの寒〜い、早春なのだそうです。
 25年前と言うと1987年。時代はまだ昭和でした。
「その頃あなたは何をしていましたか?」
と、ドキュメンタリー番組風に聞いてみたりして。
あの頃キミは若いどころか、
まだ生まれてもいないという方もいらっしゃいますよね、きっと。
まあ、私はかろうじて社会人になったくらい(←嘘。バリバリ社会人でしたけど何か)
ちなみに1987年というと、日本はまさにバブルに突入した頃。
山手線の内側の土地代だけでアメリカ全土が買えるとすら言われた時代でした。
ワンレン・ボディコンとか、サラダ記念日とか、ノルウェーの森とか、
郷ひろみ・二谷友里恵結婚とか、朝シャンとかJRスタートとか。
ちなみにファッション的にいえば、あの頃私はゴルチエとロメオ・ジリを着ていて、
当時のジャケットやコートを見ると肩幅の雄々しさにめまいがします。
アメフトでもやるんかい、と。
そんなDCブランドのブームとともに、
誰もがおしゃれになった時代でもあります。
そう、原宿ラフォーレのセールには、デザイナースブランドのセール品を求めて、
男女の行列が何重にもラフォーレを取り囲んだ、あの頃を境に、
国鉄はJRになり、農協はJAになり、一気にアカぬけたのであります。
で、「林荘」というアパートは「フォレスト・ハイツ」になり、
「和田美容室」は「サロン・ド・ワダ」になり、
「純喫茶・丘」は「ヒルズ・カフェ」になり。
古き佳き昭和の土着的な香りは次々に漂白され、リフォームされていきました。
それにともなって、芸能人もね。
たとえば、アイドル。
女の子アイドルは聖子ちゃんにしろキョンキョンにしろ
デビューから数年はリカちゃん人形のような、
モードとは無縁の格好でした。
淡いピンクや薄いブルーとかのミニドレスで、
パフスリーブの袖、ウエストはリボン結び、
スカートはパニエを入れて膨らませたような。
ガーリーというより少女チックと呼びたい、そんなドレスに、
髪は聖子ちゃんカットと呼ばれる巻き毛スタイル。
というのが定番で、浮き世場慣れしていたアイドルが80年代後期になって、
急にモードに目覚めました。
キョンキョンを筆頭に、やたらオシャレな、原宿や渋谷、西麻布らへんで遊ぶ、
おしゃれな若い女の子のようなスタイリングに変化したのです。
男の子のアイドルはさほど劇的な変化はなくて、
ジャニーズの男闘魂組がちょいロックぽい格好をしていたのが印象に残っています。
劇的だったのはお笑い芸人のおしゃれ化でしょうか?
かつてお笑い系の方々といえば、派手なスーツが定番で、
原色とか奇妙な柄のスーツを着ていれば
「漫才師みたいなスーツ」と言われたものでした。
それはお笑いの演出上不可欠な仕掛けであったはずです。
ところが、80年代後期の一億総オシャレ化時代に、
お笑い芸人の方々もデザイナーズブランドに身を包んで、
一気にファッショナブルになってしまったのです。
ビートたけしのフィッチェ(ドン小西が運営していたブランド)や、
イッセイ・ミヤケとかが有名です。
当時のたけしは
「三宅一生に『イメージ壊れるから着ないでくれ』と言われちゃったよ」
と言っては笑いを取っていました。
お笑い芸人はダサイという概念がなければ成立しないネタで、
今、たとえばダウンタウンの松本人志が
「グッチから着ないでくれと言われた」くらいのことをいっても、
「へー、松ちゃんのスーツ、グッチだったんだ」
くらいにしか思わないのではないか、
という、ファッション的に平均化された、
ある意味、没個性な世界になってしまいました。
あ、松本人志さんのスーツがグッチかどうかは知りませんよ、念のため。
今では、若手お笑い芸人とロキノン系(雑誌”Rockin’on Japan”に出ている系)ミュージシャンとでは、顔つきもファッションも見分けがつきません。
やすきよとX-JAPANでは全然違ったのにね。

ところで先日、印象的なスタイリングをしている人に出会いました。
「マルチカラーのニットベスト」と思いきや、実はマフラー!
これは斉藤久夫さんのTUBEのものだそうです。
淡いブルーのボタンダウンシャツにレトロな色調のレジメンタルタイ、
ネイビーのスクールユニフォームぽいジャケットというスタイリングに、
マフラーのクラフト感が効いていています。
ちなみにパンツはグレンチェック、バッグはビルケンシュトックの革製トート、
靴はユースドで茶色レトロっぽいテイストの編み上げ革靴。
全体におしゃれを楽しんでいる感じが漂っていますです。


4件のコメント

  1. 私は1985年に美短大生になりました。
    DCブランド真っ盛りの時代で、みんなまゆ毛の太ーい時代でした。
    また、太まゆ毛時代はファッション界と同じようにメイク界も回りまわって帰ってくるのでしょうか。怖いですね。
    聖子ちゃんカットもあと、何年かしたら帰ってくるかもしれませんね。

    みにょん姉のももちゃんはアメリカのサンノゼという所に住んでいると理解してます。アメリカで昔の日本人の生活をしようとしている人です。私は伊勢神宮まで歩いて五分の所で服飾雑貨と銀粘土というものを使ってアクセサリーを作る(暇がないので最近つくっていませんが)仕事をしています。
    写真のマフラーはいいアイデアですね。
    来シーズンの仕入れの時に探してみます。ありがとうございます。

    1. みにょんさま

      コメントありがとうございます。
      みにょんさんはどんな服飾雑貨を扱っていらっしゃるんでしょう。
      とても興味があります。
      それにしても伊勢神宮の近くなんて、うらやましい環境ですね。

      >アメリカで昔の日本人の生活

      おもしろいですね〜。これまたすごく興味あります。お釜でご飯炊いたり?
      ももちゃんお姉様の生活ぶり、覗きたい気がします。

  2. もし私の家の前がトロピカルビーチだったら、ホリーにお昼寝にいらしてくださいとお誘いできるのにね、残念です。サンノゼは、暑すぎず寒すぎずで暮らしやすいですが、IT企業と一攫千金を夢見る魑魅魍魎でいっぱいです。(ちょっとおおげさ?)

    老舗のドレスシャツメーカーのサイトコラムということなので、あんまりはしゃいではいけないと思いつつ、あれやこれやと書きたくなるのも抑えつつ、ホリーの仕事のお邪魔にならないように、ちょこっとだけコメント。

    妹が「昔の日本人の生活」というのは、私が味噌を仕込んだり、納豆、梅干しやラッキョウ漬け等を自分で作っているからでしょう。近所に日系の大きなスーパーがあって何でも買えるのですけどね。それとも和裁を独学しているからかもしれません。もっと年をとったら、木綿の着物をサックリと着こなすお年寄りになれたらいいなと思っています。(こんな個人的なことを書いていいのかかなり考えましたが、せっかくホリーが興味があると言ってくれたので、ドキドキしながら書いてます。)

    ちなみに、数週間前にミック・ジャガーがホワイトハウスでライブをやりました。真っ赤な室内履きブーツみたいな靴を履いていつものようにステージを行ったり来たり。現役の「シルバーシート・ロッカー(ズ)」です。

    1. みにょんの姉さま

      サンノゼですか?! ←って、全然知らないくせに・・・。笑

      >IT企業と一攫千金を夢見る魑魅魍魎でいっぱいです。

      おお、なんかおもしろそうな所ですね。ギラギラしてて、故アンディ・ウォーホルが好きそうですね。

      >もっと年をとったら、木綿の着物をサックリと着こなすお年寄りになれたらいいなと思っています。

      私の祖母は着物が普段着の人で、出かける時は外出用の着物に着替えるのですが、それが超早いんです。あっという間に着付けてしまいます。
      洗い張りをよく手伝いました。あんな風に早く着られればいいなと思います。というか、私は自分では着られないので、いつか習いたい気は満々なのですが・・・・。

      >こんな個人的なことを書いていいのかかなり考えましたが、

      大歓迎です。コメントを楽しみにしていますね。

      >「シルバーシート・ロッカー(ズ)」

      懐かしい!!この前、探しものをしていたら、偶然、このページが出てきてビックリ。ともあれ、覚えていてくださって感謝&感激です。
      ありがとうございます。

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