暑い日々が続いております。
気温的にもオリンピック的にも。
ニッポンのメダルラッシュも勢いに乗っていて、
90年ぶりだの30年ぶりだの、歴史を塗り替える勝利の連続です。
リオが開幕する前は、現地の準備不足や、
反対派の「地獄へようこそ」のプラカードや、
デモ隊が聖火を打ち消してしまうなどの
数々のアンチな事件が報道されていました。
2020の開催を待つ東京でも、決定時のお祭気分はどこへやら、
競技場やロゴの白紙撤回を経て、国民の間でシラケムードが高まっていた矢先。
リオの開会式を見たとたん、やっぱりオリンピックのチカラってすごいなあと
実感させられました。
南米初の五輪開催ということで、
それが決まったときは好景気の上り調子だったブラジル。
ところがその後バブルが弾けて、今、五輪開催どころではないという状況に。
そんな中、当初より大幅に予算が削られたというのに、
サンバのミュージシャンやストリートパフォーマーが
広い会場で圧巻のパフォーマンスを見せてくれたし、
国の歴史を振り返るストーリーの演出も見応えありました。
低予算でもアイデアと想像力さえあればこんな素晴らしいことができると
改めて納得。
そしてはじまった選手入場。
何がすごいって、世界、205の国と地域が参加して、
それが一堂に介してパレードするわけで、そんなイベントはやはり五輪のみ。
各国の「いついつ独立しました」とか「国名が変わりました」とかの豆知識も
同時に知ることができて楽しい限りです。
そしてこのコラム恒例のオリンピック開会式選手団ユニフォームレポですが。
全体的な印象として、今年はモード的にチャレンジしている国が、
多かったように思います。
まずカナダ。背中に同国のシンボルでもあるカエデの葉のモチーフを
大胆にあしらった赤いジャケット。
その下には白いTシャツを合わせているのですが、
シャツのすそは後ろがタキシード風につばめの羽根のように先が割れていて、
さらにジャケットより長いのですそから出る仕組み。
ボトムは細身のネイビーのパンツで、そのスタイリングはどことなく、
あのお騒がせミュージシャンのジャスティン・ビーバーを思わせるイメージ。
確かにカナダはジャスティンの故郷なのでした。
次に印象的だったのがUSA。
例年通り、ラルフ・ローレンのプロデュースということで、
ネイビーのジャケットにトリコロールの太いストライプTシャツに
ホワイトジーンズ(一部ブルージーンズ軍団も)、
トリコロールカラーのデッキシューズというスタイリング。
オリンピックの選手団入場行進というより、
GAPの広告かと思えるカジュアルスマートさでした。
(GAPは広告モデルに個性的な風貌の一般人ぽい人を使うのでなおさら)
しかも、メンズもレディースもボトムはパンツで、ユニセックスがコンセプト。
オリンピックといえば、スポーツウェア風のユニフォーム以外は、
男子はパンツ、女子はスカートが主流。
民族衣装風のユニフォームも同じように、男女の差があるスタイル。
そんな中、今回はUSAはじめ、いくつかの国で、
ユニセックスなユニフォームが採用されたのが印象的でした。
そして昨年に引き続き、ステラ・マッカートニーのプロデュースによる
英国選手団のユニフォームは、
男子が淡いブルー系のボタンダウンシャツにネイビーのピーコート風ジャケット、
白い短パン。
女子が白いサファリジャケット風の下にネイビーの箱ひだ風ミニスカート。
こちらも一見GAP風カジュアルテイストでした。
一方、モードを意識したハイブランド風ユニフォームだったのがモナコ。
白いシャツにネイビーのネクタイ、
エンブレム付きネイビーのブレザーにカーキがかったベージュのパンツ、
黒い革靴と、徹底したダンディースタイル。
イタリーもまたファッション雑誌の広告風で、
さすがは御大、アルマーニによるもの。
濃紺でバギー風太いパンツのオールインワン。
こちらもユニセックスでした。
変わり種では、一部の海外メディアに
「ハリーポッターの魔法学校の制服みたい」と評された、
モンテネグロ女子のワンピースとジャケットのユニフォーム。
サックスブルーという色やミニのフレアスカートにカンカン帽というキュートさ。
かわいい割にどんな体型と顔つきの女子でもカバーできる
制服ならではの汎用性があるのも魅力です。
ともあれ、開催国のブラジルもトロピカルなプリントのシャツやブラウスを採用し、
ファッショナブルに仕上げていたというのに。
どうしたニッポン!!
赤いジャケットに白いパンツ。そしてそのシルエットや全体の仕上げは……。
え?前回の東京オリンピックのときの使いまわし?
というくらいのレトロ感漂うユニフォームでした。
なんでコレ?
日本って、一応、まだ、先進国ですよね?
クールジャパンというキャッチコピーもあり、
ファッション先進国でもある、その国のユニフォームがコレ?
この後ろ向きかつ保守的なユニフォームに、
今の日本の関係各所のリーダーたちの自信のなさが見えているようで、
少し寂しくなりました。
「変なデザインにして叩かれたくない」という思いが見え隠れします。
じゃあ、変なのにしなければいいのに、とも思いますが、
でも、それをジャッジすることも難しく、
どうしても中庸なものに流れてしまうのかも知れません。
それにしても、ロンドンオリンピックからもう
4年も経っていたことにも驚きます。
とすれば東京オリンピックももすぐそこ。
今年の日本の選手たちの大活躍のように、
4年後の開会式の演出や、
ユニフォームが大活躍してくれることを祈る次第です。