相変わらず暑い日が続いています。
先日、北海道で37度を記録し、
その日は沖縄より北海道の方が暑かったとか。
もはや列島に避暑地なし?
南国や北国の意味すら一変させる、この異常気象、
もはやこれは異常ではなく、常態化しているのでしょうね。
何百年も続いて来た環境が
「これまでに経験したことのないような豪雨」(気象庁の表現)、
いわゆる記録的短時間大雨などの影響で一日にして変わってしまう。
今更ながらとんでもない世の中になってしまったと思います。
東京や大阪はじめ、日本の都市の夏はもはや亜熱帯のような気候です。
気温が高い上に湿気が多いため、日陰でも暑い。
昔からここまで暑い国だったら、
ニッポンという国は、今とちょっと違うお国柄になっていたのでは?
とすら思えます。
そんな猛暑のさなか。
クールビズが推奨されていますが、
職場や職種によってはジャケットやタイ着用が、
暗黙のルールというところもあるのでは?
(前回のコラムの石破さんのように自主的にされている方も含め)
エアコンが効いた屋内ではまだいいけれど、そのまま外を歩いたりすれば、
ジャケットを脱いでも一瞬で汗だくになってしまいますよね。
だとしても、人前では涼しげな顔をしていたいもの。
ジャケットにタイドアップでドレスアップしながら、
いかに人から見て涼しげにいられるか?
それが、今やセミトロピカルなニッポンの夏の課題ですね。
先日、「土井縫工所」を運営するスタッフの方々とお会いしたときに、
おふたりともジャケット着用でタイドアップしていながら、
足元を見ればいかにも軽やかで涼しげ。
この一点で足元から全身へとクール感がもたらされているのですね。
本人も涼しく見た目も涼しげ、なおかつきちんとしていてスタイリッシュ。
そのコツは足元にあり!という感じでした。
近頃、イタリアンテイストのメンズファッションの中で
若い世代を中心に市民権を得てきた
ボトム丈を短くしてくるぶしを見せるスタイリング。
この季節には本人も涼しく見た目も涼しいというわけで、
まさに一挙両得です。
とはいえ、一歩間違うと野暮になってしまうので、
スタイリッシュな「足元スッキリ的コーディネート」のポイントを聞いてみました。
【パンツ】
裾幅に関しては、少し前まで、17cm程度と細めだったものが、
今年は18〜19cmと若干太くしたほうがトレンド感が出ます。
同時にヒップまわりも少し余裕を持たせたものが今年の雰囲気です。
タックを入れたものや、タックのないノープリーツであっても、
腰まわりがこれまでより少しワイドになっているのが今年のライン。
丈が短いのはそのままで、股上が以前より深くなっているのも特徴。
よりクラシカルでリラックス感が加味されたスタイルといえます。
そして日本の夏には最適なシルエットです。
【シャツ】
肌にぴったりと吸い付くような細身のものより、
少しゆとりのあるシルエットのものを。
なおかつきっちりドレスシャツで、
カッタウェイよりワイドが今年の気分。
リネンはじめ、コットンや鹿の子など、
カジュアルな素材のドレスシャツを着るのが
夏のスタイリングのポイントです。
また、汗をかいたあとのシャツは、汗臭さに加えてシワも見苦しいもの。
リンクルフリーなどの機能素材を使ったシャツだとシワにならず、
きれいな状態をキープでき、スタイリッシュに見えます。
機能素材はシャツのケアも楽なのがうれしいですね。
インナーには速乾性やクール加工を施した素材のものを着用すると
快適な着心地に。
また、汗を拭くにはハンカチよりデオドラントシートがおすすめ。
汗やにおい、皮脂汚れを拭き取って肌のサラサラ感を保ちつつ、
クール感のあるミントやレモンなどの香料を含ませているものもあるので、
汗臭さをカバーしてくれます。
【靴はローファー系】
コインローファーはカジュアルテイストが強過ぎるので、
タッセル付きなどを選んでフォーマル感をキープします。
レースアップシューズを選ぶ場合は、ローファーのときよりは、
ボトムの丈を気持ち長めのものを合わせましょう。
ちなみにレースアップの場合は外羽根をチョイス。
よりフォーマルな内羽根より、
少しカジュアルなコーディネートに向いています。
【ジャケット】
軽い素材のものを選び、軽快感や清涼感を意識することがポイント。
コットンジャケットよりは薄手のリネンのほうが風通しがよく、
さらに「一番涼しいのはサマーウール」とのこと。
ウールを細く撚って織った素材ですが、
コットンのようなベタつき感がなく、吸湿性は抜群。
それというのも、ウールは吸収した水分を蒸気として
放出する特質を備えているらしく、
さすが元は羊ですから、暑さ寒さから身を守るための
天然の繊維ならではの機能があるといえます。
しかもコットンよりは上質でフォーマルな素材なので、
きっちりしたいなら夏こそサマーウールのジャケットを。
【タイ】
いくらクールビズとはいえ、職種や職場によって、
あるいはビジネス上の大切なシーンでタイ着用がマストの場合も。
とはいえ、見た目のスッキリ感はなくしたくない。
やはり、コットンや麻、シルクなど清涼感のある素材を選びたい。
色目や柄などでよりクール感を演出しましょう。
さてさて、ドレスアップの敵ともいえる昨今のニッポンの夏。
だからこそ、腕の見せどころ・工夫のしどころと言えます。
「着ても・見ても・涼しげ&きっちり」な、
クールビズならぬクールスタイリングのコーディネートで
ビジネスウェアの夏バテを防いでくださいね!
*写真は、土井縫工所のスタッフのお二人。
さすが!
偶然、揃ってシャンブレーのドレスシャツとネービーのジャケットですが制服ではありません。
それぞれ少しずつ異なるデザインの別物。
シャツはこの時期に着やすい薄手素材です。
ネイビーのジャケットはコーディネートしやすく着回しがしやすいので、
季節ごとに素材やシルエットを替えていくつか持っておくと便利です。
コーディネートのディテールはこちらで。
文・堀井美智子