真夏の祭典がはじまりました。
開会式のショーはミニ映像からはじまりましたが、
これからしてまさにイギリスっぽさムンムン。
カメラが水中や地上、上空やテムズすれすれに疾走し、
イーストロンドンにあるオリンピックスタジアムめざします。
途中、テムズ川の建物の上にピンクの豚
(ピンク・フロイドのアルバムカバーのモチーフ)が浮かんでいたり
Sex Pistolsの”God save The Queen”が一瞬かかったり。
UKサウンド好きならニヤニヤしてしまう趣向でした。
そしてショーはまず、古き佳き田園風景から幕を開け、
馬車に乗った山高帽の紳士たちが現れると煙突が登場して時代は産業革命へ。
中でも牽引役を担った製鉄業を表すような金色の輪が上空に浮上して、
それが5つ組み合わされて、第1回目の近代オリンピック開会を表現。
そう、イギリスは近代オリンピックが生まれた国なのです。
さらに「不思議の国のアリス」から「メリー・ポピンズ」「ハリーポッター」まで、
ファンタジーの生産国ならではの、有名キャラ総出演の幻想的シーンを経て、
歴史の舞台を現代に移し、モッズやグラムロック、パンクが登場。
一番印象的だったのは、鳩のシーンでした。
オリンピックでは平和のシンボルである鳩を使った演出がお約束らしいのですが、
今回は本物ではなく、ナイロン製の鳩の羽根を背負った男達が、
ビートルズの”Come Together”とともに自転車に乗って登場。
これがよくできていて、羽ばたきがとても自然でした。
照明を落とした会場を一周する自転車鳩たちの羽根は、
青白くサイバー系の光りを放っていて、幻想的で美しい光景でした。
その中の一羽が空中高く飛び立って行って、頭上を移動していく。
というショーは、ロス五輪の時のジェット噴射飛行男や、
ソウル五輪の時の電動聖火台のような、
ハイテクを駆使して未来感を出す手法はとっていないのに、
ある意味、とっても未来的でした。
ド派手な盛り上がりやスター制度はなくて、
あくまでもみんなでいっしょに楽しもうというスタンス。
選手団入場の際に先導する役の女性が、
大勢の顔がプリントされたかわいいワンピースを着ていて、
各国選手の顔なのかと思っていたら、なんと、
今大会のボランティアのオーディションを受けた人たちの顔なのだそうです。
服の後ろにはその人達の後ろ姿。
さらに、栄えある聖火の最終ランナーは7人!
しかも、まだ実績はなく将来性だけたっぷりな10代の選手たち。
聖火台も高所にあるシンボリックなものではなく、
参加各国を表す銅でできた204個もの器に点灯する仕掛け。
その器が次々に聖なる炎をあげて空中に上がり、
やがてひとつの大きな聖火になる、という「One World 」的な演出でした。
そういう意味で未来的な提案に満ちたショーだったと思います。
そして、開会式といえば、気になるのが各国選手団のユニフォームです。
ユニフォームは大別して3パターンあります。
スーツ系、伝統衣裳系、スポーツウェア系です。
やっぱり一番興味があるのはスーツ系。
今回、事前に話題になっていたのがアメリカでした。
ラルフ・ローレンがデザインしたものが帽子から服、
靴にいたるまですべて中国製だったというので物議を醸したのです。
とはいえ、紺色のWブレストのブレザーにラウンドカラーの白シャツ、
紺地に赤ラインのレジメンタルタイ、白ズボン、紺のベレーで、
胸に有名なロゴマーク入り(この広告はいいのか?と思いました)。
ともあれ、ラルフ・ローレンらしいきっちり系スタイリッシュなものでした。
そして今年はフランス勢のユニフォームがちょっと大人しげ
(シルエット的に地味な紺ブレ、白シャツ、白ズボン、青タイ。
パンツがタイト気味でフィットしているのが唯一の特徴でしょうか?
ちなみに馬術のユニフォームはエルメスなんだそうです)
だったせいか(?)イタリア勢のユニフォームがやたらカッコよかったという印象。
デザインはアルマーニ。
男性は紺色のスーツにサックスのシャツ、紺系のレジメンタルタイ、
イタリア国旗をチーフ代わりに胸に挿している選手もいました。
女性はタイとお揃いの柄のスカーフというのが粋でしたね。
で、開催国イギリスの選手団のユニフォームは?というと、
デザインはステラ・マッカートニー(ちなみに親子異種競演)。
アイテムは白いジャージ上下。
トップスの襟は金色で、男性群はハーフパンツ仕様でした。
スーツ系ではなくスポーツウエアで入場したのは、
ステラがアディダスの契約デザイナーであり、
英国選手団の競技用ウエアもアディダスが担当しているせいかも知れません。
そんな英国勢はデヴィッド・ボウイの”Heroes”とともに入場。
「We can be heroes just for one day”という歌詞が、
今回のオリンピックのココロを象徴しているような気がしました。
誰もがヒーローになりえる・・・。
それにしても、オリンピックにデヴィッド・ボウイやピストルズが流れるなんて、
東京オリンピックの時代に予想できたでしょうか?
当時は三波春夫のオリンピック音頭っすよ?
スポーツとロックなんて全く次元の違う世界でした。
今、世界は縮まったとしみじみ思います。
国やジャンルを超えて、同じ思いを共有する人達が、同じ言語を話している、
そんな気がします。
さあ、そして、肝心の日本人選手団のユニフォームは?
・・・あれ?、これ、東京オリンピックの時のじゃないですよね?
という感じでした・・・。