あと1週間でロンドン・オリンピックが開幕します。
オリンピックといえば、競技以外にも楽しみなのが開会式イベントです。
直近では北京オリンピックも、いろいろ楽しませてくれました。
最初の花火はCGだったとか、独唱した少女の歌は別人だったとか、
さすが中国!終わったあともぬかりなく話題を提供してくれたものです。
多分、ロンドンオリンピックでは、
CG花火や歌声すり替えなどのフェイク&キッチュな方式は取らず、
ものすごくエコか、
演劇文化の熟した英国ならではの劇場型仕掛けのどちらかだろうと、
予想していました。
ロンドンオリンピック開会式の演出を担当するのは、
『スラムドッグ$ミリオネア』で有名なダニー・ボイル監督。
とはいえ私には『トレインスポッティング』の方が、
この監督作品として馴染み深いです。
ユアン・マクレガーがまだオビ=ワン・ケノービ(スター・ウォーズ)になる前の、
まだ駆け出しだった頃に主演したファンキーな映画で、
音はイギー・ポップだし全編疾走感あふれるものでした。
で、そんな監督の演出による開会式プランが6月に発表されたのですが、
「かつての英国の牧歌的な雰囲気を再現する計画」とのこと。
会場の競技場に本物の土と草を運び込んで埋め尽くし牧草地を再現。
そこに馬12頭、鶏10羽、ガチョウ9羽、羊70頭の家畜を投入し、
草原では「家族」がピクニックを楽しんだり、
歌ったり踊ったりするんだそうです。
という演出で、古き佳き英国の田園風景を再現するんだそうです。
この計画が発表されるや
「動物虐待だ!動物を開会式の大混乱にさらすことになる、
動物たちの恐怖を考えてみなさい、とくに羊はどれほど怖がるか!」と
動物愛護団体などから猛反対の嵐だそうで「とくに」と名指しされた羊は、
すでに大混乱しているのではないでしょうか。
さらにこの会場には巨大な雲をワイヤーで設置し、
当日、イギリスの雰囲気を象徴する雨が降らなかった場合、
その雲から人工の雨を降らせる計画なのだそうです。
選手たちは、小川あり畑ありの田園地帯を歩くことになるのだそうで、
なんという農村テーマパーク的開会式! 楽しみ過ぎる!
とまあ、今回の演出は「牧草地」という部分はエコで
「競技場に再現+人工雨」という所が極めて劇場的で、
予想2種のミックスマッチでありました。
そんなロンドン、4月から長雨が続いていて、
しかも20年ぶりの冷夏なのだそうです。
7月に入っても日本の11月初旬の気温なんだそう。
いくら英国名物の雨といっても、ロンドンの雨はさっと降ってさっと止む。
それが晴れた青空のもと、一日になんども繰り返されることもあり、
そして日本のような大粒の雨でなく霧雨なので、
まず、誰も傘をささない。
英国人が傘をささない理由は、そのほかに、傘そのものにもあると言われます。
その昔、英国紳士といえば山高帽にステッキ代わりの傘。
杖代わりなので、限りなく細く巻くことが求められ、
かつては「傘巻屋」という商売まであったそうで、そこに頼めば、
それこそ職人的な細さと見事な巻加減で仕上げてくれたのだそうです。
とはいえ、巻代が取られるわけで、そこは無駄を嫌う英国紳士、
ちょっとくらいの雨ではささなくなり、
それが風潮として広まったのではないかと言われます。
とはいえ、やっぱり日本のような雨では、傘をささないわけにはいかない。
英国の霧雨ならではの「濡れていこう」主義だったと思います。
というわけで、オリンピック開会式には人工でなく、
リアルな雨が降り注ぐ様子が見られるかも知れません。
いっせいに傘をさしているのは、
きっと国外からの応援団や観客の方々かも。
ちなみに、英国のロイヤルファミリーの方々は、
雨の日には透明のビニールの傘を携えて登場します。
といってもモチロン、コンビニ傘ではなく、特別注文のロイヤル仕様。
通常の傘のように平たくなくて、深いお椀を逆さにしたような形で、
すっぽりかぶってさしてもお顔がよく見えるようにという配慮からなのだそうです。
傘の縁はカラーテープで縁取りされていて、
女王陛下などは服の色や帽子の色と、傘の縁取りの色を
しっかりカラーコーディネートしていて、とてもおしゃれです。
雨の日が楽しみになりそうな傘を探してみるのもいいですね。