ハロウィーンの夜に

さて、ハロウイーンの当日です。
渋谷なんて、この週末は怖くてとても近づけません。
渋谷・新宿あたりの盛り場から私鉄で20分ほどのこの町でも、
昨日今日はとんがり帽子やゾンビ衣裳に身を包んだお調子者を見かけました。
コンビニの店員さんでさえ、魔女ルックなんですから、
いやはや、ハロウイーンがここまで日本を席巻するなんて、
10年前は誰が予想したでしょう。
一説によると、市場的に今やハロウイーンはバレンタインを抜いたとか。
特定や不特定多数の人に愛をお届けするより、
ゾンビや魔女やその他もろもろの仮装に見をやつしたほうが、
楽しいというわけなのでしょう。
ラブよりコスプレ。
贈り物をするより、よりアクティブなイベントに心惹かれる。
現代日本の文化のココロを物語っているように思います。

では贈り物の気持ちが衰退しているかといえば、決してそうではなく。
贈り物がスペシャルなものではなく、
より日常的化しているということなのでしょう。
プチプラという言葉がありますが、プチプライスつまり少額のプレゼントを
とくに誕生日や記念日でもないのに、
きれいにラッピングして親しい友だちに贈ったり、
あるいはちょっと高価なものを購入するときは、
「今まで頑張った自分へのご褒美!」として納得する。
ギフトが、特別感をまといつつ、贈り合う機会は日常化している。
お中元やお歳暮のように贈り合うことにときめきはないけれど、
ランチで会った友人に「アナタが好きそうなもの見つけたから」と
小さなものを贈る。なんでもない日に贈ること、そこにはときめきがある。
バレンタインが形骸化しているのも、そのあたりにワケがありそう。

最近、よく行くショッピングセンターに、
とあるボディイケア専門店がオープンしました。
固形やリキッドのソープ類から、バス用品、パフュームなどの、
ボディケア用品を扱う海外ブランドの直営店です。
とくにギフトを意識した商品展開で、
店内のディスプレイもひとつの商品を手にとってもらうというより、
美しくラッピングされたセット販売のアイテムをメインに打ち出しています。
プライス設定もたとえばハンドクリームなら1000円くらいからと、
決して高価過ぎないところがポイント。
今、20代の女の子への贈り物なら、ここの小物を選んでおけばまちがいない、
といわれる2〜3のショップのうちのひとつだそうです。

そして驚くことに、このブランドの「ジェントルマンシリーズ」は
若いメンズにも大人気で、ギフトに喜ばれているそう。
かつて女の子から男の子への贈り物で、
メンズ用香水くらいはあったかも知れませんが、
ハンドソープやボディシャンプー、ハンドクリームのセットを贈るとか、
あまりポピュラーなことではなかったような。
オシャレを意識するという行為が、これだけ普遍化している昨今、
ソープやハンドクリームも特別感漂うもので、生活環境をオシャレしたい、
そう思う男子が増えても当然のことかもしれません。
ともあれ、レモンの香りのグリセリン石けんをもらって喜ぶ男子。
やはり奥面なくゾンビで電車に乗る人たちの価値観は、
違うと感心したものです。