この春、銀座に華々しくオープンしたGINZA SIX。
銀座エリア最大の商業施設という点と、
世界のラグジュアリーブランドが勢ぞろいという点がセールスポイントです。
コンセプトは早くいえば「最高の暮らし」なのだそうで、
館内にはショップやレストランはじめ、能楽堂まで備わっています。
この建物は吹き抜けになったホールが特徴で、
見上げるとグラスとシャンパン色の素材との組み合わせによる階層が、
ゴージャスな別世界観をもたらしています。
インテリアを担当したのはグエナエル・ニコラさんというフランス人の
インテリアデザイナー。
フレンチブランドの日本のショップなどのインテリアを数多く手がけている方です。
ニコラさんをご自宅で取材させていただいたことがあるのですが、
建物の壁面がガラス張りで驚きました。
どの部屋も床から天井までガラス張り!
しかも近隣は森の中とか断崖絶壁とかいうのではなく、
高級住宅街の一角とはいえ、目が合う距離でお隣さんに囲まれています。
しかも建物の前の道路を歩く人からも一目瞭然。
もちろん、バスルームや寝室などはブラインドがありますが、
昼間はほとんど開けています。
「道路やご近所から丸見えでも気になりませんか?」とお聞きすると、
「見られたら困るようなことはしていないので」とおっしゃいます。
さらに「いつ誰に見られても構わないように、
生活のスタイルをキープするようになります」とも。
家の中での暮らしぶりなんて、
いつ誰に見られても恥ずかしいという私にとっては、
まさに目からウロコな思想でした。
2階建ての建物には階段がなく、長いスロープで一階と二階を昇り降りする設計。
小さいお子さんが遊ぶのにはぴったりです。
お子さんといえば、その日はちょうど一人のお嬢さんの誕生日で、
ホームパーティーに呼ばれたお友達が親に連れられて続々やって来ました。
日本で暮らすフランス人の方々が子供を送って来るのですが、
全員パパなので、これまたびっくり。
日本ならママが送って来て、ママ友会も同時に開催、的な催しになるのですが、
そこではパパ友交流会が開催されていました。
海外の子育て事情を垣間見た思いがしました。
さて、話がずれてしまいましたが、
GINZA SIX の吹き抜けを彩る大きなオブジェは、
水玉模様が施された巨大なカボチャ。
ポップでダイナミックなフォルムが目を惹きます。
これはルイ・ヴィトンやコムデギャルソンといった
世界的なブランドとのコラボで一気に認知度が広がった、
日本を代表するアーティスト、草間彌生の作品です。
水玉もカボチャも草間彌生の代表作で、
まさに日本の新しい商業施設にふさわしい説得力があります。
先日、その草間彌生の「わが永遠の魂」展に行って来ました。
草間彌生史上初という大掛かりな展覧会で、会場の新国立美術館は
入館にサルバドール・ダリ展越えの55分待ち。
とにかく大人気なのですが、若い人に人気なのかと思いきや、
隣でやっているミッシャ展と間違えて入って来たのかと思えるような
マダムな奥様方も多かったのでまたびっくり。
さらに、ベビーカーを押しながら鑑賞するママ・パパも多いのにこれまたびっくり。
そんな草間彌生の作品展を見るたびに思うのは、
全く迷いがない!!ということです。
考える余裕なんてないとばかりに、
内から溢れ出る・ほとばしる衝動を、
絵筆からキャンバスへと流し込んでいるがごとくのスピード感と迫力。
それを見るたびに、ガツンと背中を押されているような感覚を覚えます。
ものを作るうえでの苦労とか迷いとか、もうやってらんないわあ的な思いとか、
そういうものを全部まとめてガツンとやられている感じ。
オラオラ、ガタガタ言ってないでやるやる!!みたいな。
草間先生!!ありがとうございます!!と思わず涙してしまうような。
本当に、ものづくりに携わる人のみでなく、
仕事や生き方で迷っているすべての人たちに、
とても励みになるアーティストであり作品だと思います。
そんな草間さんも1970年代くらいの作品は、コラージュを作って見たり、
ちょっと画風が違っていて、先生でも迷いがあったんだと。
それはそれでやはり励まされる気分。
大昔、私はとあるパネルディスカッションでまだ無名の頃の
草間彌生に会ったことがあり、当時は作品を知らないまでも
おもしろい人だと思ったものです。
当時は小説を書いたりもしていて、それがまたおもしろく、
私は何冊かエッセイや小説を持っていますが、
そんな風に色々手を出したりしていた時代があるのも興味深い。
そして、現在88歳の彌生先生、
まだ30年は描き続けたいという野望をお持ちのご様子。
みなさん、私たちもがんばりましょう!!
*写真は、「わが永遠の魂」展示会場。ここの空間のみ撮影自由。みんなここで絵を撮ったり絵を背景に自撮りや友人同士、家族、カップルが撮影会をしていました。
*プリミティブさとダイナミズムが美しい作品。アフリカの民俗アートのようなフォルム。
*会場の外の木も草間彌生調水玉でラッピング。