最近、何回見に行っても長蛇の列で、ついココロ折れてしまうのが
上野の森美術館で開催中の「怖い絵」展です。
公式HPでの解説によれば、
「視覚的な怖さだけでなく、隠された背景を知ることで判明する恐怖まで、
『恐怖』をテーマに約80点の西洋絵画・版画を展示。
●「この絵はなぜ怖い?」その怖さを読み解くヒントとともに絵画を鑑賞!
●ターナー、モロー、セザンヌなど、ヨーロッパ近代絵画の巨匠による”怖い”作品もセレクト!
本展最大の注目作は、ポール・ドラローシュの大作《レディ・ジェーン・グレイの処刑》」とのこと。
そうしたシーンが西洋絵画ならではのリアルなタッチで描かれた作品のオンパレードで、
怖いもの見たさの人が私も含めどれだけ多いことか。
開催直後に行ったときは1時間待ちで、行列が苦手の私はそく挫折。
同じように観たかった「マジカルアジア展(国立博物館東洋館で開催)」に行ってしまいました。
次に「怖い絵展」にトライしたときはなんと3時間半待ちに膨れ上がっていました。
行列は公園の端の方まで伸び、木立に隠れて最後尾が見えないほど。
当然この日も挫折し、国立科学博物館で開催の「古代アンデス文明展」に。
おかげでアジアやインカの人たちの死生観をたらふく観るはめになりました。
どちらもミイラの展示が含まれ、古代の人たちにとって、
死は最大のイベントだったのだと再認識しました。
アジアでは人の死後は、グレードが上がったり神になったりすると考えられ、
インカでは人の死後はミイラになってそのまま生き続けると考えられていたとか。
家族のようにいっしょに生活し、服を着替えさせたりご飯をあげたりしていたのだそう。
怖い絵展よりずっと怖い展示物がありましたが、
いずれにしろ、古代の人達にとって死は現代よりずっと謎で、
恐れるあまり生は別の次元を生きること、と信じるよりなかったのでは?
と思いましたが、死のメカニズムが解明された現代でも、
人は大切な人の死を受け入れがたく、
いつも心に生きていると思う人が多いのでは?
何百年経っても、人の気持ちのはさほど変わっていないような……。
どちらの展覧会も「怖い絵」展の挫折組と見られる人たちで混雑していたのですが、
いずれにしろ上野は美術・博物館が集結しているので、
どこかで何かが見られる、ありがたいところです。
上野公園内は最近特設のイベント会場が作られていたり、
カフェが増えたり、数年前と比べるとプレイスポットとして飛躍的に進化しています。
そんなわけでいまだに「怖い絵」展を観られていません。
きっと、観ないうちに終わってしまうんだろうなあ、と予想しています。
最近、週末の金土は夜の8時頃まで開館している美術館が増えたのもありがたいことです。
昔は国立などの公的な施設は4時半に入館締め切りなんてザラでした。
会社勤めしている人は日曜日の昼間しか観に行けなかったのです。
5時や6時に仕事を終えてから美術館や博物館に行って、
2〜3時間楽しめるという、いい時代になってきました。
舞台も、7時開演というのが増えているので、
これまた仕事終わりに行けるようになっています。
演劇のメッカであるロンドンなどでは、8時開演という舞台も珍しくありません。
歌舞伎のように4時間くらいある舞台をほぼ一日かけて楽しむというのも
ココロ惹かれますが、そうそうできないリッチな遊びです。
やはり、週末の仕事終わりなどに、
気軽に展覧会や演劇、ライブが楽しみたい。
気分転換にもおおいに役立ちそうです。
そんなとき、気になるのがアフター5のスタイリング。
スーツで行っても別におかしくないし、
それなりにスタイリッシュなスーツも色々あるし、
というのも事実ですが、
「今夜は若い観客の多い舞台やライブだし、
ここはちょっとした変化が欲しい、
でもオフィスから直行で着替える時間がない」、という場合は?
●ネクタイを変える、またはタイを取ってスカーフにする
スカーフは夏場はコットン、冬は薄手のカシミアやパシュミナなどでカラフルなものを。
長さのあるものをクルクル巻くことで、スーツ姿でもビジネス感のない洒落っ気が出ます。
●チーフを遊び心あるものに変える
粋な大柄水玉や、トレンドの写実的な花模様など、普段より少し派手なタイプに変えてみては?
これならポケットから取り出してすぐチェンジできそうです。
●ジャケットを変える。
ちょっと光沢のある素材のもの、あるいはストライプ、思い切って最近のトレンドのミリタリー調?
パンツやシャツなどはそのままで、ジャケットを着替えるだけでいきなりスタイリッシュに。
あるいはジャケットを脱いでこれまたトレンドのカラフルなカーディガンに変えてもいいですね。
●タイピンやカフス、ラペルピンで遊ぶ
舞台やライブにちなんだモチーフのものにしてみるなど、
これまた気がつく人は気がつくおしゃれ。
アクセントやスパイス的なものにこだわって選ぶと、
スタイリングの仕上がりに奥行きをもたらしてくれます。
●スーツもコートもそのままで、靴下だけ思い切り派手にする
グレー系のスーツにネイビーやキャメルのコート、ローファーやウイングチップといった、
ベーシックでビジネステイストなコーディネートに、
花柄やダークなラメ使いのペイズリーなどの靴下をあわせる、
などという、気がつく人は気がつくというスタイリングは、
案外、遊び気分を盛り上げてくれるものです。
時間のないところで効果を生むシンプルコーデのテクニックは、
そんなところでしょうか?
ちなみに、観劇やライブ時は重くてかさばるコートは邪魔になるので、
そんなときのために軽目のダウンコートなどを持っていると便利です。
軽めのダウンなら無理矢理でも畳んでバッグにねじこめば収納できます。
などと、アフター5は、限られた条件下でファッションをアレコレ考えることになり、
そこにまた楽しみが加わるのではないでしょうか。
そういえば本屋さんで「これを読めばもう着るものに悩まなくていい」
というようなタイトルの本を見て、違和感を感じました。
着るものに悩む楽しみって、着ることの楽しみと同意語じゃないんでしょうか?
その楽しみを奪わないで欲しい、と思ってしまいました。
おおいに悩んで楽しんで、自分的コーデの達人になりましょう。
*写真は、上野の国立博物館資料館の夜景と、上野の森美術館横に掲示された「怖い絵」展の看板。