3月も早、半ばを過ぎました。
列島南部では桜の開花宣言も聞かれます。
とはいえ、暖かくなったと思えば、また氷雨が降るというような、
相変わらず振り幅の大きい天候です。
そんななか、この時季の楽しみは、桜はもちろん、
街なかで出くわす、さまざまな花々。
ボケや梅からはじまり、椿やハクモクレン、枝垂れ梅などが、
次々に開花して、冬枯れの景色に色を添えてくれます。
枯れた木々が天空に裸の枝を伸ばしているのも
なかなか渋くて好きなのですが、
やはりそこに花が咲くと、一気に春のエネルギーを感じて、
ウキウキしてしまいます。
仕事の合間、居心地のよさそうなカフェでひと休み、ついでに読書。
しばしのリフレッシュです。
本屋と見ると、ともかく入ってみるのも楽しみのひとつですが、
最近は街なかで本屋さんに出くわすことがあまりなくなりました。
どんな店でも、あってくれるだけでもありがたい。
と思える昨今。
「ああ、ここはいい本屋さんだ」と思える書店が、
ひさしぶりに行ってみると閉店していたということも多くて、
本当に寂しい限りです。
貼り紙を読むと「本が売れない昨今、なんとかがんばって来ましたが、
力尽きました」と書いてあった店もあり、
そういえばおじいさん・おばあさんの2人で店番してたっけ、
おばあさん、お釣りを間違えて多くくれちゃったときがあって、
慌てて返したら、あらまあ、そう?と恥ずかしそうに笑ってたっけ。
その様子を思い出して胸が痛くなりました。
全国の本屋さんは、ここ20年くらいで1万軒近く減っているそうです。
うちの近所の駅前に4軒あった本屋も、今は1軒を残すのみ。
両隣の駅には、なんと一軒もなくなってしまいました。
一方、SCなどではブックカフェが増えていて、
いつもヒトで賑わっています。
本屋さんがつぶれる原因はAmazonなどの通販サイトに押されて、という
のがメインと言われています。
ネットで本を買う理由は、近所の書店や、相当大きい書店にも
在庫がないものが、ほぼかならずあって、
最短その日、あるいは翌日には手に入る、という点。
そんな思いをして本を買う理由は?
読みたいから、あるいは資料で必要だから。
ネットでたいがいのものは読める、調べられる時代に、
紙媒体の本を欲しがる。
そんなヒトに限って本が好き、すなわち本屋が大好き、という率が高い。
つまり、本屋さんを殺しているのは、
ほかならない本好きや本屋好きではないのか?と私は思っています。
でも、読みたいと思ったら、すぐ読みたい。
この想い、どうしてくれよう。
幸い、うちの駅前には本屋が一軒だけサバイバルしています。
チェーン店でベストセラーと各種ガイドブックと
文庫と新書とコミックスしかないような
特色のない店ですが、それでもあってくれるだけでありがたい。
本屋で本を見る時間は特別なもの。
そして、本を読むということは、別世界を旅するということ。
旅費も宿泊費もいらないし、時空だって超えられる。
それは決して小説だけの話しではなく、
どんな本でも、その世界への旅という意味では同じです。
本屋は、その楽しみの入口を揃えたエリアみたいなもの。
どれが一番おもしろそうか、
たくさんある各入口から、奥のほうを覗くことができる場所です。
スマートホンが普及して以来、子どもの偏差値が下がったと
ニュースで言っていました。
そりゃあね、検索ワードさえ入れれば、一瞬で答えが出てしまう今の時代。
考える事や自力で四方八方手をつくして調べるとか、
ほぼ不要ですから、大人はもちろん、
子どもだって考えないようになっているのでしょう。
私たち一般庶民が、調べ物をインターネットで簡単に
安価に調べられるようになったのは、
20年くらい前からでしょうか?
今の子どもたちは手のひらのスマホやタブレットで世界を知る。
でも、そこから、より広く、より深い世界に行くかどうかは
その子次第であって、紙媒体との差はないようにも思います。
むしろ、もっと専門的にじっくり向き合いたくなったら、
書物にアクセスしようとするのでは?
ファッションも書物も同じ。
どう興味を持って、どこまで追求して楽しむか、ということに、
時代の差はないような気もします。
ファッションアイテムの入手は昔よりずっと簡単になって、
誰もがスタイリッシュなアイテムを素早く、
リーズナブルに入手できるようになったけれど、
借り物感があるヒトは、昔も今の時代も同じ。
10代でファッションに目覚めた少年少女が憧れるもの。
それは、身近なブランド・ショップやセレクトショップだと思います。
店長や販売員のカッコいいスタイリングを真似したり。
そうした「オシャレへの入口」みたいなショップが、
全国でファッション大好きさんたちを育んで来たのだと思うのですが。
これからは、オシャレなブックカフェがもっと出現して、
優秀な本のセレクトショップが増えて、
本大好きさんたちを育んでくれるのでは?
と期待を込めた予想を立てている今日このごろです。
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