なんとなく秋めいた風が吹き始めています。
と同時に台風もやって来たりして。
そして新総裁も誕生しました。
新総理の野田さんは、あくまで見た目ですが、
久しぶりに、私たちが子どもの頃から見てきた、
昭和の政治家然とした政治家登場という感じがします。
思えば平成も20年を過ぎた頃から、麻生さん、鳩山さん、菅さんと、
政治家らしくない印象の総理が続きました。
麻生さんはマンガオタクだし、鳩山さんは宇宙人だし、
菅さんは学生運動家っぽいし。
まあ、学生運動家は裏を返せば政治好きなわけですけれど。
この3人は「政治家も変わったなあ、時代も変わったんだなあ」
と思わせてくれたものですが、
野田さんになって、一気に時代を遡った感じがします。
よくも悪くも、まだ日本が未来を信じて突き進んでいた時代の
ギラギラした皮脂に覆われている感じ。
昭和40年代後期から50年代初期くらいの感じ。
何がそうさせるかというと、
まあ、単純に顔つきと体つきと服のセンスだと思います。
ファッションセンスに関しては、実は菅さんとほぼ同じなのに、
なぜか菅さんは野田さんほどおっちゃんぽく見えない。
野田さんの方が年下なのに。
で、この二人はシャツのセンスがそっくりです。
白地のシャツにボタンやボタンホールの色が黒系で極端に際立つスタイルです。
しかも台襟の裏地に違う柄の素材があしらわれていたりします。
この手のシャツは、ピンとキリが激しいので、
ヘタに手を出すとファッション的やけどをします。
自分の服に関するポリシーがしっかりしていて、
シャツはこうあるべき、という信念のもとにピンを選んで着ているのなら、
それなりに説得力があると思うのですが・・・。
そうでなくて「ちょっとおしゃれに見えたいけどよくわかんないし。
こういうのがおしゃれってやつなのかな? 」
と迷いながら選んでしまうと、ほぼキリを引くし、
その迷いが如実に表面に現れてしまう面倒なタイプです。
「オレはファッションに興味ないんだよねえ」と宣言してるような印象になりがち。
迷いがある時は、無地やストライプを着ておく方が、ずっとおしゃれに見えます。
つまり、このあたりのボタンやボタンホールに色を持たせて、
アクセントにしているシャツは、
どうも体験版とか、サンプルセットのようなもの、という印象がぬぐえません。
正式のものではないけれど、
とりあえずこれでお茶は濁せる感が漂っているんですね。
濁せると思っているのは本人だけで、
正規のフルラインを愛用している人から見れば「ああ体験版ね」的な。
とりあえず服はどうでもいいんだなと思われると思いますが、
とはいえ「ボタンとボタンホールの色が変わっている」ものを選んでいる所が、
ちょっとお茶濁したい下心が透けてしまっているわけです。
ここで王道にして正統派の無地やストライプを選んでおけば、
心ある正統派でいられるものを。
というわけで、管さん、このシャツどうにかならないかと思っていた所に、
野田さんが勝利し、総理の椅子と、
色ボタンシャツを引き継いでしまったという・・・。
ライバル海江田さんは無地シャツ愛用者なので、
少なくともファッションセンス的に見れば期待したい所でした。
国会で思わず泣いちゃった時も、
淡いパープルか赤みがかったサックスのボタンダウンシャツ着用。
一方、国会きっての「濡れたまなざし」の持ち主、前原さんは、
このクールビズのご時世でも、ノーネクタイの印象がありません。
いつテレビで拝見してもしっかり締めてます。
菅さん以前の総理というと、やはりオシャレ度が高いのは麻生さん。
スーツはいかにも高級そうなビスポークだし、
外遊した時に飛行機のタラップ上で手を振っていた時のコートは、
テレビ画面でもはっきりと伺えるほどのしなやかさと上品な艶。
もうカシミア100パーで間違いありません。
夏は無地のシャツかストライプ。
たまにクレリックシャツを着るくらい。
時たまポケットチーフもあり。
一方、鳩山さんは、というと、
オフの時はハート模様や花のモチーフが入ったシャツも着て登場するし、
あの奇天烈な色あわせのシャツで「ルーピー」とすら言われてしまったほど。
とりあえず個性派ということはわかります。
最近は大人しめなカッコですよね。
民主党といえば原発事故直後、連日の記者会見で一躍時の人となった枝野さん。
当時は作業服の襟を立てたスタイルがなんだかなあと思いましたが、
平時の枝野さんはおしゃれです。
無地かストライプのボタンダウン派で、
夏場は綿素材らしきジャケットを着用。
枝野さんと似たファション感覚の持ち主が細野さん。
この方もまた、シャツは白かストライプのボタンダウン派です。
お二方とも、デパートに入ったメンズセレクトショップで、
服を揃えている40代前後のビジネスマンのスタイリングという感じがします。
そして、印象的なスタイルといえば、自民党総裁の谷垣さん。
この方はしばしば、台襟だけのシャツという、文化人好みなチョイス。
襟が極めて小さくて胸ポケット2個付きというような、
変形デザインも着こなす派です。
谷垣さんの場合は、ソフトな風貌が政治家らしく見えなくて、
このデザイン重視なセンスも今の所、
無理矢理っぽくなくてナチュラルな感じがします。
というわけで、久しぶりに政治家っぽい風貌の野田さん。
これからどんなファッションを・・・ではなく、
どんな政治手腕を見せてくれるのでしょうか?