10月も終わりにさしかかり、世間はカボチャのオンパレードです。
夜はすっかり肌寒くなってきました。
そんな10/28の夜、エル・デコという
インテリア雑誌が主宰しているデザインアワードの、
授賞式のパーティーに行って来ました。
世界25ヶ国で発行されているエル・デコの編集長たちが選ぶ、
「エル・デコ インターナショナルデザインアワード(EDIDA)」というのがあって、
毎年ミラノ・サローネで発表され、デザイン界のアカデミー賞とも言われています。
ミラノ・サローネというのは、毎年イタリア、ミラノで開催される、
世界最大級のデザインイベントです。
複数の巨大な展示場で国際家具見本市や
国際インテリア・小物見本市などが開催され、
世界各国の企業やデザイナーの作品が出品されます。
その会場のひとつで、エル・デコの編集長たちが発表するのがエル・デコ賞の大賞。
世界の代表的なインテリア雑誌が「ワタシタチハ、コレガ、イチバン!」
と決めるわけですから、全世界で注目されることになります。
そんなエル・デコ大賞に向け、日本の代表を決める前哨戦が行われたのです。
昨夜はノミネート13部門が発表されその授賞式が行われました。
会場は、東京・神宮前の「アウディ フォーラム 東京」。
原宿と渋谷の中間くらい、明治通り沿いにそびえるガラス張りのビルです。
2階のギャラリーには、2011年で最も優れた家具やテーブルウェアとして、
選出された作品が展示されています。
授賞式は1階奥に設けられた特設ステージで19時から行われ、
最初は日本人の若手デザイナーに贈られる、
「エル・デコ ヤングジャパニーズタレント」の発表。
さらに、家具やベッド・寝具、チェア、テーブルウェア、
照明器具、ファブリックなど全13部門の優秀作品が、
続々と発表されていきます。
印象に残ったのは、アウトドア部門で受賞したカッシーナの「LC3 outdoor」。
LC3はル・コルビュジエが1920年代にデザインした、
彼の代表作にして名作家具中の名作。
1世紀近く昔のものなのに、今だにウルトラモダンという驚異の作品です。
そのLC3を、風雨に耐える素材で作ったから、
庭に置いて野ざらしにしても全然平気よ、というのがこの椅子。
この名作家具をテラスや庭に置く生活って・・・、と思ったのが、
印象に残った主な理由です。すみません。
次にエスタブリッシュ&サンズのマンモスというタペストリー。
これは、フィンランドのデザイナー、クラウス・ハーパニエミの原画を元にしたもので、
彼は近年、伊勢丹のクリスマスのウィンドウディスプレイを手がけている、
とても不思議な絵を描くヒトですが、
このタペストリーもマンモスのまわりをプテラノドンが飛び交って、
火山が噴火して隕石が降りまくっている、
という光景が美しい織物になっているという不思議な世界。
あとはPorroというイタリアのメーカーの、Shinというベッド。
シンプルな枠に快適そうなマットレス、
そしてヘッドボードが厚みのあるクッションになっている、
これは今まで見たことがありません。
寝ている間に知らずにヘドバンしても、これなら大丈夫。
これだけで、睡眠不足の人々はこのベッドに吸い寄せられてしまいそう、
というくらいきもちよさそうな作品でした。
ところで、日本ノミネートとはいっても、
必ずしも日本人によるデザインや日本のプロダクツというわけではないんですね。
日本のエル・デコはこれを推薦しますというニュアンスで、
土俵はグローバルなわけですね。
さて、来年度のミラノで選出されるエル・デコ大賞はどうなるのでしょう?
2009年の大賞では日本の吉岡徳仁さんがデザイナーズ・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
ともあれ、やはり芸能関係の式などと違って、
デザイン関係の式はいたって地味です。
発表する方もされる方も淡々と粛々と進めていきます。
間違っても「○○賞、●●さん」と言われたとたんに「イエー!!!」
とWピースで飛び上がる人とか、カメラマンに変顔してキメる人とかはいません。
もちろん、会場を埋め尽くす人々も、デザイン関係のヒトたちがメインなので、
各作品が発表されても秩序正しく拍手するのみ。
そんなわけで、明日のデザイン界を担うヒトや作品にまつわる祝祭の夕べは、
平和で穏やかなうちに執り行われたのでした。
日本ノミネート13部門の対象作品は11/3まで、アウディ フォーラム 東京の、
2階に展示されるとのことなので、興味があるヒトはぜひ。
ところで、いっしょに行った土井縫工所のD氏のジャケットの襟に、
なんとチャーミングなピンバッジが!
昨今、国内外のメンズファッション誌で、ジャケットの襟に生花や、
花のコサージュや、かわいいブローチなんかを付けているスタイリングをよく見かけて、
メンズファッションもいろいろ可能性が広がっているなあと思っていたのでした。
でも、やっぱり生花やコサージュなんかは、新郎でもない限り、
やたらに手が出るものではないし、
と思っていた所にD氏のピンバッジ。「これこれ!」と思ってしまいました。
モダンにデザインされた花が厚手のフエルトで作られています。
シンプルでベーシックなジャケットに合わせている所もいいです。
これはサンプルとのことですが、
仕事場からちょっと華やいだ場所に行く時なんか、
おすすめのスタイリングかと。