空港テーマパーク

仕事で羽田国際空港のレストラン&ショッピング街に行ってきました。
この施設はすでにオープンして1年。
空港利用以外の来客が落ち着いてきた頃です。
スカイツリーに人気を持って行かれてるのかも知れません。
ライバルはまだオープンしていないのに。
とはいえ、最近もテレビではよく取材されています。
レストランやショップの並ぶ4階フロアが、
江戸の町並風になっているので、絵になるし、
どことなくテーマパーク風です。
そしてターミナルビルの建物そのものは骨組みが見えるとてもモダンなデザイン。
建物5階分が吹き抜けになった開放的な空間の下に、
江戸的風景がはめ込まれているのです。
レトロな家並の上に超近代的な骨組みの天井が広がっていて、
そこが逆になんとも近未来を思わせます。
未来なのに何故か風景や人のスタイルは江戸時代というような、
ある種のアニメのような別世界観が体験できるのです。
ショップやレストラン街は建物の4階と5階にあり、
4階は古き佳き日本のたたずまいの「江戸小路」で、
レストラン18軒と物販15軒が軒を並べます。
5階は現代東京がテーマの「TOKYO POP TOWN」で、
今や日本を代表するもののひとつであるアニメのグッズや、
世界のアイドル、ハロー・キティなどのキャラクターショップや、
アパレルメーカーがプロデュースする今ドキな生活雑貨など、
ショップ8軒とカフェ2軒が並んでいます。

さらに、空港でははじめてというプラネタリウムもあり!
そして、やはり空港ならではの忘れてならないポイントが、展望デッキです。
屋内と屋外の双方に、広いデッキが設けられていて、
待機中の飛行機が心行くまで眺められます。

一応すべて回ってから4階にあるカフェでひと休みしました。
出発ラウンジのすぐ上にあり、壁面がすべてガラス張りの建物ゆえ、
窓外にモノレールと、晴れた日は陽光に輝く海が見えます。
そして吹き抜けの眼下には搭乗手続きのフロア。
ここでお茶を飲んでいると、そのままチェックインして、
どこかに飛んで行ってしまいたい衝動にかられます。

1978年に成田空港が開港するまで、羽田は長い間、
国際空港として日本の玄関口の役割を担っていました。
私が初めてイギリスに行ったのも羽田から。
当時は海外遊学そのものが珍しかったので、
誰かが海外に行くとなると、親や友人、親戚まで空港に見送りに来ることもザラ。
自分が行く時や友達の見送りの時もみんな集まって、
国際線の出発ラウンジの二階にある喫茶店で、
ワイワイやっていたことなど思い出してしみじみしました。
私も友達も、親すらも、そしてトーキョーすらも若くて、
この世に怖いモノなんてなくて、なんでもできると思っていた時代。
あの未知数加減からすると、自分も年や経験を重ね、
日本のみならず世界の可能性も、ある意味、先が見えてきています。
そしてあの頃の羽田から見れば、遠い遠い場所だった海外の国々への距離が、
近頃は実に縮まったと感じます。感覚的には地続きのような。
島国日本にとっては、それは確かに新たな可能性なのだと思います。

そんな、遠い遠い日々を思い出させてくれる羽田空港は、
ご存じのように30年ほど国内線メインの空港でしたが、
昨年からはプチ国際空港として見事帰り咲いています。
とはいえ、フライトインフォメーションを見ると、
ほぼ東南アジアや中国行き。
あとはアメリカの一部とヨーロッパはパリとロンドンのみで、
しかも本数は少ないようです。

建物の頭上を見あげると、天井は一定間隔で切れ目のようなものがあり、
そこから日差しが降り注いでいます。
TIAT(東京国際エアポートターミナル)の広報の方にうかがうと、
このビルはエコ仕様で、雨水や地熱利用など環境に配慮してあり、
照明も省エネ対策で出来る限り自然光を取り入れるように設計されたのだとか。
ちょうど晴れた日だったので、建物内はまぶしいほどの明るさに満ちています。
さらにこのターミナルは随所にユニバーサルデザインが施され、
搭乗ゲートから飛行機に乗り込むまですべて
世界初のバリアフリーになっているのだそうです。

最先端の入れ物(建物)の中に、
江戸の町並を取り入れた国際空港。
現代ニッポンの模索がここに現れているような気がしました。

photo
左・江戸の町に近未来の空が広がる
右・カフェから見た出発ラウンジ