インテリアでは’60年代調のものが人気ですが、ファッションでも最近よく、
’60年代のスタイルを見かけます。
タイトなジャケットに小さめの襟のシャツ、細身のパンツ。
’60年代当時、アイビーやコンチと呼ばれていたファッションです。
チマタでも、そんなカッコの男子をよく見かけるし、ポール・スミスやアレキサンダー・マックイーンのような英国デザイナー勢も、
タイトなジャケットと、細身のパンツをコレクションで展開しています。
’60年代というのは、なぜか今、スタイルのキーポイントになっているような気がします。
それは、戦後約10年経て、やっと余裕を取り戻して新しい時代になった、あの頃独特の勢いへの憧憬もあるのかも知れません。
今の時代から見れば、新しさというよりレトロなのですが、
古き佳き時代のチャレンジ精神、
恐い物知らずな躍動感を感じさせるからではないでしょうか。
日本でも昭和40年代にVANやJUNといった先駆者的なメーカーが、
そういうスーツやシャツを作り、
MEN’S CLUBなどの雑誌ではコーディネートが紹介されました。
平凡パンチがまだ、当時のファッションやサブカルを紹介する雑誌として、
ワカモノの必読書だった時代、
表紙は大橋歩さんが描くアイビールックの青年たちでした。
当時の日本では、アイビールックといえば七三分けのヘアスタイル。
今、あの頃のワカモノの写真とかを見ると、七三のおかげで、
全員、やけに好青年に見えます。
ちなみにアイビールックのオリジナルは、
米国のハーバードほか8大学のフットボール連盟「アイビーリーグ」から。
ボタンダウンのシャツに細身のシングルジャケット、
細身のパンツにローファーという彼らのファッションが、
アイビー・ルックと呼ばれたのでした。
元祖は学生だけにクリーンなイメージですが、
そんなアイビー調やコンチネンタルスタイルのジャケットやスーツを着つつ、
欧米ではそこにロングヘアをあわせてしまうワカモノたちもいました。
60年代にサブカル志向の人々の間で流行っていたビートニク・スタイルです。
ビートニクは、50年代から60年代後期にかけて、
暴力的、反社会的、または実験的だったりする小説や詩を書いた、
ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグ、ウィリアム・バロウズの、
3人の作家や詩人をビート世代と呼んだことから派生したムーブメントです。
一見普通のジャケットやスーツを着ているのに、
髪だけマッシュルームカットだったり、長髪だったり。
60年代後期になってエスニック的なヒッピースタイルが台頭するまで、
ビートニクスは反体制のシンボル的スタイルでした。
若い頃のアンディ・ウォーホルもちょっとそんな感じです。
最近、タイトなスーツやジャケットに、
髪はマッシュルームカットというワカモノをよく見かけます。
ボタンダウンシャツやポロシャツにタイトで短めなパンツ、
足元にはローファーやデザートブーツ。
首から下はまるで昔のままですが、
違うのはバッグでしょうか?
今のワカモノたちご愛用のトートバッグは、当時ファッションアイテムとしては、
取り入れられていないものでした。
この手のスタイルで思い出すのは、
俳優では当時大ヒットしたアメリカ映画「卒業」の頃の、
ダスティン・ホフマン。いつもいい味の着こなしをしています。
サイモン&ガーファンクルの往年のファッションや、
イギリスのヤードバーズなどのスタイルもかなり参考にしたいライン。
ポイントは、ちょっと脱力感のあるスーツやシャツの着こなし、
といった感じでしょうか?
今年風ビートニクスタイルは、きまじめなジャケットやドレスシャツに、
リバティプリントの花柄とか、
ちょっとユニセックスなスカーフをプラスしてみるなんてよさそうです。
写真は60年代のイギリスのロックバンド、ヤードバーズ。
左から二人目がジェフ・ベック、右端はジミー・ページ。
さらにエリック・クラプトンといった、
のちのスーパーギタリストたちが在籍していた伝説のバンドです。