花咲くおじさん


桜前線も北上し、今頃は東北あたりで満開を迎えている頃でしょうか?
1年に一度、街の景色を一変させてしまうほど、
桜には特別なチカラがあるような気がします。
私は特にソメイヨシノが好きです。
ヤマザクラなどと違って、葉より先に花が咲くこの種は、
すっかり葉の落ちた裸の枝から、いきなり蕾がふくらみ、花を咲かせます。
で、樹齢の高いソメイヨシノの巨木は色も黒々としていて、
ゴツゴツして男性的な、限りなくおじさんぽい木です。
その色黒でゴツゴツした巨木や老木が、
いきなり薄桃色の可憐な花で覆われてしまうのですから、
なんだか桜自身も照れくさそうにしている気がしてなりません。
ともあれ、春は再生の季節。
新入学や新入社、進学などの時期に合わせているかのように、
そう、新シーズンのスタートを絵で示すかのように、桜が咲き誇る。
本当によく出来ていますよね。

そんな昨今。街にはピカピカのいちねんせいが溢れています。
先日、カフェで打ち合わせをしていたら、
店の前の歩道の植え込みで何かが動くのが見えました。
なんだか、黄色っぽい動物です。
アヒル? 目を凝らして見ていると、
その動物が植え込みの奥で立ち上がりました。
その正体はランドセルを背負った小学生の男の子でした。
ランドセルの黄色いカバーは1年生の証拠。
その子は学校からの帰り道、ふと植え込みの中が気になって、
奥に入り込んで遊んでいたようです。
今の都心では幼稚園までは親が、
園や習い事、友人宅への送迎をするという暗黙のルールがあるので、
彼は今、生まれてはじめての一人歩きという自由を謳歌している時期なのでしょう。
そのフラフラした足取りに思わず、車に気を付けて帰るんだよと
心の中で声を掛けました。

その後、牛丼屋の前を通りかかると、
今度は男子中学生グループが店の入り口でワイワイやっています。
「まず、食券買うんだろ?」
「あ、そうだそうだ」
これまた新1年生のようで、牛丼屋の使い方から勉強です。
これまでの人生で、親といっしょに牛丼屋に入ったことのない子もいるでしょうし、
小学生の時より、世界はずっと広がります。
まず食券を買うことを知っている子もいれば、知らない子もいて。
植え込みで遊んでいた子も、6年後にはこうなるんだなとほほえましく思いました。
そして、繁華街は新歓の飲み会に繰り出す大学生や、新入社員たちが目立ちます。
最近、感心するのは、新入社員らしき青年がオシャレになっていること。
この時期というと、ひと昔前までは、
浮いた襟元とか長い袖とか、背中にあっていないジャケットとか、
どこで買ったんだ?と思うようなチープ感漂うネクタイとか、
そんなスーツ姿の人材によく会いましたが、
最近はあまり見かけません。
みんなそれなりに決まっています。
女性も、コートやスーツ、バッグから靴まで、
あきらかに就活生チョイスのアイテムだよなと思う子でも、
OLやって早3年、くらい貫禄ある着こなしが多い。
カジュアルウエアでオシャレをしていれば、
スーツの選び方や着こなしにも、
それなりのショップやアイテムを選べるようになるだろうし、
服に対する全体意識が底上げされているのだと思います。

そういえば最近は「スーツ」「私服」という分け方なんですね。
「制服」「私服」ならわかるけど、
スーツだって自分の服なら私服じゃない?と思うわけですが。
学生や若い人たちにとって、スーツは制服という感覚なのでしょうか?

ともあれ、就活という戦いを勝ち抜いて見事採用となり、
社会の制服に身を包んだ新入社員の方達。
けれど入社はゴールではなく、ここからが新しい挑戦のはじまり。
どんな仕事も大なり小なり、プレゼンテーションが必須ですし、
これを勝ち抜くには万全を期すことが大切。
もちろん、見た目=ファッションだって重要なポイントです。
誠実で真摯、上品な印象と力量の深さを相手にさりげなく伝え、
信頼感を勝ち取る、そんな目的に効果的なドレスシャツの中から、
土井縫工所が「これぞ!」というものをセレクトしました。
誠実さを表す白はもちろん、洒脱なロンドンストライプもおすすめ。
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*写真は、花咲くおじさん。