やっと涼しくなったと思ったら、
今度はダブル台風の接近で妙にムシムシします。
そうでなくてもこの時期は、着るモノに悩みますね。
シャツに薄手のジャケットやカーディガンが無難なところですが、
スカーフ1枚でも案外暖かいもの。
首回りを覆うことによって襟元から冷たい空気が入るのを防いだり、
体温が逃げるのを防いだりするので、
防寒という意味では、薄い上着くらいの威力があります。
最近は大判の綿のスカーフをコーディネートしている人も多く見かけます。
数年前までは、大判のスカーフといえば、
女性か、かなり自由度の高いファッションの男性の御用達だったのが、
近頃は普通にビジネスマン的スタイルに合わせているので、
ビジネスシーンでの選択肢もどんどん広がっていると感じます。
大判スカーフでないにしても、小ぶりなスカーフやアスコットタイで、
防寒コーディネートを楽しんでみてください。
今年、ショップなどの店頭で、
特に多く見かけるスカーフやタイが、ペイズリー柄です。
もちろん、不滅の人気柄ですから、いつでも途切れることなく
店頭に並んでいるのですが、ここしばらくは、ブーム再来といった状況です。
ペイズリーといえばまず思い出されるのが、リバティやエトロ。
それらのブランドの生み出す緻密な細密画のようなペイズリーから、
バンダナのプリントのような簡略化されたペイズリーまで。
一家に少なくともひとつはこの柄のアイテムが存在しているのではないでしょうか。
どこかエキゾチックで中近東の香りがするこの柄、
ペルシャ生まれ(現在のイラン)、インドのカシミール育ちといわれます。
かの地でこの柄のショールなどが織られるようになり、
植民地として統治していた英国に伝わりました。
18世紀になってからスコットランドのペイズリーという都市で、
この柄の織物が量産され世界的に広まったために、
地名がテキスタイルの名称として定着したのでした。
織物としてはじまったペイズリーですが、
近年はリバティはじめ、プリント柄がメインになっています。
ちなみにリバティのペイズリーは19世紀に英国のデザイナー、
ウィリアム・モリスによって描かれたものです。
ペイズリー柄の図形は、松かさや菩提樹の葉など植物特有の曲線、
陰陽太極図や勾玉など水滴状のものを象ったといわれます。
緻密に描かれたペイズリー柄を見ていると、
その中に生命体までも潜んでいるのでは?と思えるほど宇宙的な感じがします。
植物を細胞レベルまで描いたような図柄の神秘性が、
私たちを永遠に惹きつけているのかも。
ハヤリスタリもない柄ですが、
60年代にサイケデリックな音やスタイルが流行った頃は、
ミュージシャンが盛んにペイズリー柄のモチーフを取り入れていました。
80年代に入ってからもその傾向は同じで、現在もその流れと言える
「サイケデリック・ペイズリー」というスタイルが残っています。
蛍光色を多様して、より宇宙観かつ幻想性を倍増して、
ポップにアレンジしたものです。
ほかにもハヤリのスカルを入れ込んだものや、
薔薇や小花とペイズリー柄を組み合わせたものなどもあります。
クラシカルで古典的なペイズリーの魅力に惹かれるからこそ、
こうしたアレンジが次々に生まれるのではないでしょうか。
年代や性別を問わず使える柄ですが、
それだけならほかにも水玉やストライプ、チェックなどもあります。
加えて華やかさや豪華さも、となると、
やっぱりペイズリー柄が首位独占。
フォーマルにもOKの風格は他の追随を許しません。
ともあれ、今年の秋冬は無地のシャツに
金茶系ペイズリー柄のスカーフなどでポイントを加えてみては?