蒸し暑い日が続くかと思えば、半袖では少し肌寒い夕暮れもあり。
この時期は着るモノに迷います。
電車や地下鉄はエアコンが効き過ぎている場合もあるし。
薄い1枚仕立てのコットンや麻のジャケットが活躍する季節ですね。
そして、薄着になってくると、誰もが多少はボディラインが気になるもの。
男女の差を問わず、服に興味がある人なら避けて通れないポイントです。
先日、近所で、ある女性グループを見かけました。
その一群に視線を奪われたのは、ひとえにその中の一人の女性の存在。
有名人だったわけでも、目を奪う美人だったわけでも、
目立つコスプレをしていたわけでもありません。
たしかに美人ではあったのですが、最初に視界に飛び込んできたのは、その姿勢でした。
顔が小さくてほっそりして手足が長いという、確かにスタイルそのものもいいのですが、
何よりも、すっと伸びた首筋と背筋の醸し出す立ち姿の美しさ。
その姿勢を作り上げている意志やカラダ哲学とでもいえそうなものに圧倒され、
同時に、およそ重力を感じさせない軽やかさに感動。
しかも、軽やかだけれど、1本ビシッとしたものが中心に張っているような、
そう、投げ鎗とか吹き矢とか飛んで来たら即座に飛び立ちそうな
野鳥のような緊張感漂うカラダと申しますか、
常に持ち主のコントロール化にある体つきなんですね。
白いシャツに黒いパンツ、モノトーンのプリントスカーフといういでたちの彼女は、
ものすごく背が高いわけではないのに、その場にいた10人あまりの誰よりも高く見え、
誰よりも優美で、とにかく視線を一瞬にして奪ってしまう存在でした。
見とれていたら、グループの中の一人に友人がいて、声をかけられました。
聞いてみると、抜群の姿勢の彼女は元バレリーナで、
現在はヨガやピラティスのインストラクターをしている方と判明。
やはり、あの姿勢や引き締まったボディラインはプロの仕事だったのです。
しかも、想像していた年齢より10歳ほど上でビックリ。
童顔系の美人だったので、それだけでも若く見えるだろうとは思いますが、
やはりあの姿勢のよさ、伸びた背筋、立ち姿や歩く姿の美しさが若々しく見える要因。
昔パリで、シャネルタイプのスーツを着て、
バーキン風の大きなバッグを片手に持ち、
10センチヒールのパンプスを履き、
大股でさっさと私を追い越して行く女性がいました。
シルバーグレイの髪からのぞく耳には、大きな大きな赤い宝石のイヤリング。
印象的には40代前半くらいの働き盛りの女性です。
その時、ふと、ふりかえった顔は、なんと驚きの推定年齢80歳超え。
真っ赤な口紅の顔はしわだらけです。
が、大股で歩く姿の背筋は伸び、全身が生命力で弾けそうな感じです。
当時、20代後半だった私より、確実に元気な歩きぶりでした。
もちろん、若さはカラダだけでなく、
アンチエイジングを施した顔だけのことでもなく、
頭の中身の柔軟性も大きなポイントです。
が、若々しい体つきをしているということは、
多分、頭の中も柔軟なんだろうと思わせてくれます。
一方、猫背で腰が曲がっていても、
話の中身は別人かと思うほど若い、という人もいます。
逆に、アンチエイジングで奇跡のような外観を手に入れていても、
話の中身は美容とカラダ作りだけで、若いとか老けてるとか以前に、
オツムが筋肉化してるんじゃないかという人もいます。
我らボディメイキングに関するアマチュアは、
プロにはとてもかなわないのだから
素人は素人なりに、すっきりした姿勢でいられるようになりたい。
とりあえずこの夏は、シンプルな白いシャツをスマートに着こなすために、
無理のない程度にすっと伸びた背筋と首筋をマスターしたいものだと思いました。
そう、シャツを着た背筋がピシッと伸びたあなたの後ろ姿に、
今頃、誰かが熱い視線を投げかけているかも知れませんよ。