シティ・オブ・トーキョ―

city of tokyo とIOCのロゲ会長がボードを示し、
東京は2020オリンピック開催国に決まりました。
7年後、このアジアの街に、世界中から人がやってきます。
その人たちがまず思うのはどんなことでしょう?
今、世界の都市の建築物は、
とくに新しいビルでは似た感じなので、
東京もさほどエキゾチック感はないかも?
パリのシャンゼリゼ通りの一角は表参道かとみまごうほどだし。
世界中の人が何より驚くのは、その清潔さではないかと思います。
一説によると、シンガポールは東京よりもっときれいだというけれど、
少なくとも東京の都心のデパートやショッピングビルでトイレに入るときの
あの安心できる清潔感。こういう恵まれた状況は、海外ではそうそうないのでは?
そんな日本人は、清潔好きが高じて、長らく無臭が好まれていました。
特に女性が多く手にするものは完璧、それ。
化粧水や石鹸、住居用洗剤などは「無臭」「無香料」が主流でした。
が、最近のアロマブームからか、
香料入り柔軟剤ダウニーの人気からか、
はたまた、そこにショップがあれば半径500m圏内に香りビームをまき散らす、
自然派せっけん「ラッシュ」の人気からか、
近頃「香り」が一気に復権を遂げ、
もうチマタは匂いをフューチャーした商品だらけです。
タバコの匂いなどをとるための衣類・布製品・空間用消臭剤までが
「フローラルの香り」とか「ハーブの香り」とかの匂い付き。
消臭するんとちゃうんか?!
と突っ込みたくなる商品ばかりです。
トイレの便器洗浄剤まで、「ミントの香り」が出たなあと思っていたら、
あっという間に「ラベンダーの香り」や「ローズの香り」が登場。
しかも、無臭ブームが終焉を向かえ、「香り」が復権を遂げたと同時に、
これも復活したのが「デコレーション」。
長い間、スタイリッシュなテイストのお約束であった「シンプル」が、
今やデコレーションに取って変わられているのです。
たとえばファッションビルのポスターや宣伝媒体が、
見事に花や装飾的なモチーフを多用した、
夢見がちでデコラティブ、ロマンティックなラインに変わって来たのが3年ほど前。
ファッションもフリルや花柄が主流になってきて、
食器や生活雑貨もデコラティブに様変わりし、
気がつけばシャンプーや洗濯洗剤までもが、
バラの花やハーブ系の草花をあしらったパッケージのオンパレードで
ものの見事にデコラティブに大変身。
シンプルへの道は長かったけれど、デコラティブへの回帰はあっと言う間でした。
私が物心ついた頃は昭和モダンの真っ最中。
欧米からやってきたポップでちょっとサイケな柄物が王道でした。
冷蔵庫や電気炊飯器、ポットにまで図案化された花がらが、
ドーンとプリントされていたものです。
色はオレンジやちょっとグレーがかったグリーン、
そしてプラスティックのザルは濃いピンクでした。
そこから長い長い時間をかけて、生活様式はシンプル化し、
無地やモノトーンが主流になるまで半世紀は要したように思います。
が、バラの花やクラシカルな唐草模様の復権までに要した時間はものの3〜4年。
しかも図案化した花がらでなく、今日びの花がらはリアルがポイント。
結局、みんな装飾的なのが好きなのかも。
とくに女性の花好きは無視できません。
建物がどんどん無機質なモダン様式になる昨今、
植物などの自然美を描いたリバティプリントが支持された時代のように、
今また日本人は、花の香りや模様に魅せられ癒やされているのかも知れないですね。
で、こんにちは〜、こんにちは〜世界の国から〜、と訪れる人たちを迎える7年後は、
どんな街になっているのでしょう?
そこに至る過程が、今からとても楽しみであります。