今年のトレンドといえば、なんといっても白です。
ショップでは白いシャツやTシャツ、ボトムが、
「とにかく今はコレでしょ」といわんばかりに、
メインステージにディスプレイされています。
生成というより、さらした純白が、今年の特徴。
ピュアホワイトの白のシャツやTシャツに、
さらに白いボトムを合わせるのも今年風です。
白というのは強烈な個性のある色なので、
素材によっても雰囲気が変わります。
同じ綿でも糸や織り方によって白の表情が変わり、
綿やシルク、ナイロンなどの異素材では光沢や陰の出方も変わります。
様々な白を組み合わせたコーディネートも楽しいし、
白いシャツに白いボトムの場合は、
ベルトや靴、アクセサリーにも重心がかかります。
小さい面積の小物をアレコレ合わせて試して見るのもまた楽しいもの。
コーディネートを楽しむことこそ、オシャレの醍醐味といえますね。
先日、女友達がマッシロな厚手コットンのトートバッグを持っていました。
トートバッグやエコバッグで白系というと、
断然、生成や麻っぽいベージュが主流です。
さらしていない生成色は、さながらナチュラルテイストやエコ気分のシンボルのような存在。
だから、友達が持っている純白のトートバッグは、すごく新鮮で、
景色の中で輝いて見えました。
どこで買ったのか聞くと、友人のイビサ土産だとか。
イビサにあるファッションのショップが出しているトートバッグだそうで、
なんと布の裏側に、つまりバッグの内側にブランド名が大きくプリントされていました。
そこがまたオシャレ。
以来、白いコットンのトートバッグを求める日々です。
白いシャツに白いパンツ、そして白いバッグ。
白という色には、強いメッセージ感があります。
久しぶりに、ファッションが本気になっている、
そんな印象があって、ワクワクします。
余談ですが、今、家族が入院中で、会いに行っても、まあ、当然ですが、
あまり元気がありません。
先日、パジャマの上に着る薄いカーディガンが欲しいというので、
何枚か持って行きました。
その中の、ちょっときれいなパープル系の花柄のカーディガンを見つけて、速攻手を伸ばしています。
「これ、着てみる!」
ベッドの上でさっそく袖を通し、着ています。
そのあと、鏡に映してチェックさえしています。
高齢でしかも入院中で、テレビを見る気にもなれないとふさいでいた人が、
一瞬で目を輝かせて表情が華やいだことに驚きました。
着るもので、人はこんなに気分が上がるんだ。
そんなファッションの威力をまざまざと再認識した瞬間です。
そういえば、以前、高名な歌舞伎役者さんにインタビューしたときのこと。
「大きな役をやるときは、それに負けないようにバリッとした服を着ていく」
とおっしゃったのが印象的でした。
大きな役というのは、強い存在感があるもので、
しかもそんな役の歌舞伎の衣装の立派さや豪奢さ、その迫力は、
間近で見ると想像を絶するものに違いありません。
柔な気持ちでは、着る前に打ち負かされてしまいそう。
それに動じず自分のものにして着こなすことが役になりきることに通じます。
気持ちを鼓舞するため、衣装に立ち向かうために着る服、
それはそれでもはや戦闘服のようなものです。
勝負服って言葉もありましたっけ。
ときに心に華やぎをもたらし、ときに心を奮い立たせてくれるファッション。
食や住よりトップに来る意味は、こんなところにもあるのでは?
と思えてくる今日この頃。