梅雨が明けて、本格的な暑さがはじまりました。
先日、岐阜多治見市では39度を記録したとか。
多治見市といえばこれまでは美濃焼きなどの陶磁器が思い出されたものですが、
暑さ日本一でも有名になってしまいました。
夏は連日37度超えを記録するという埼玉県熊谷市にしろ、
「日本一暑い街!」続々出現中です。
日々、亜熱帯化している列島の夏、
なんとか無事に元気に乗り越えましょう。
さて、そんな季節ではオシャレもなかなか、ままなりません。
若かりし頃、パンク系のスタイルに凝っていた頃、
基本、素材が革だのビニールだの厚手の綿だのと冬仕様な上に、
スタッズ付きだの革ブレスレットだの、小物もやたら暑苦しいわけで、
夏場は死ぬ思いで着こなしていました。
その時しみじみ悟ったことは、「パンクはヨーロッパのもの」。
やはり衣食住は地域の環境に合わせたものがベストかと。
男性陣のひざ上パンツ率の高さも、今年は前年比3割アップという気がします。
オフィス街では短パンにコットンジャケットというスタイルもよく見かけます。
そんな暑さの中で、先日、インパクト絶大なメンズを見かけました。
まず、うちの最寄駅で出会った、推定年齢28歳の男性。
ナチュラルな感じのヘアスタイル、カーキ色のカーゴパンツ、
普通のリュックにニューバランスのスニーカーという、ごくカジュアルなスタイル。
が、ブルーグレーに白地の細いストライプが入ったシャツは、
なんと前立にフリル付き。
PRADAが前立に幅広いフリルを付けたシャツを出したり、
デザインコンシャスなブランドが大胆なフリルを配したシャツを出したりしていて、
モード系のスタイリングを好むメンズが着ているのはたまに見かけますが、
ごく普通のカジュアルスタイルの男性が、
カーゴパンツやスニーカー、リュックにフリルをコーディネートしている。
それがとても新鮮で、彼が服を楽しんでいる風情が印象的でした。
その日の午後、見かけた別の男性、指定年齢34歳。
サラリーマン風ヘアスタイルにサラリーマン風シャツを着た彼は、
大きめな茶色のボディバッグにエスパドリーユ風デザインの革靴。
一見、きわめて普通な彼のボトムは、なんと、サルエルパンツではありませんか。
(注・サルエルパンツとはバルーンのようにたっぷりしたシルエットで、
股下が足元くらいまで下がり、裾部分が足首で絞られているパンツのこと。
元は民族衣裳で、’77年の春夏パリコレクションに登場して注目されたらしいです)
夏のサラリーマンの下半身が濃いグリーン系とワイン系のマルチストライプのサルエル。
これまた斬新な眺めで、イスラム圏への出張から帰国したばかりの方であろうか、とか、
あるいは趣味が海外旅行とエスニックアイテム収集の方であろうか、とか、
はたまた奥さまがイスラム出身の方であろうか、とか、
色々妄想してしまいました。
その直後、電車に乗った私は、この日のクライマックスとも言える、
ものすごいシーンに遭遇したのです。
推定年齢70代前半のそのおじさまは、白いスーツにワインレッドのドレスシャツ、
白黒コンビの靴に、頭には白いボルサリーノ着用。
こんなボルサリーノ、アラン・ドロンと麻生さん以外に、
ホントにかぶってる人いるんだ、とビックリ。
そのいでたちでシルバーシートに腰かけていたおじさま、
上体をナナメにかしげて足を組んで座るその姿は、
まさに巨大なワイングラスでも片手に持たせたいポーズ。
あたりの空気をはらうように燦然と輝くその堂々とした態度のせいで、
比較的混んでいるのに、隣に座ろうという勇気のある凡人は誰一人いません。
それにしても、一体なんの仕事をしている方なのでしょう?
服装から見てサラリーマン(役員とかの)ではなさそう。
芸能関係か夜のお仕事か。
案外、大工さんとか自転車屋さんとか獣医さんとか、
そんな職業だったらもっとおもしろいのになあ、とか、
色々、これまた妄想してしまいました。
ファッションは、その人そのもの。
チマタの人々のフリルのシャツや白いボルサリーノから
メッセージを受け取って楽しむ夏の午後です。