金木犀の香りも終わり、めっきり肌寒くなってきました。
そろそろ、厚手のコートが恋しい季節です。
今年は細身のダブルのチェスターフィールドのような、
比較的フォーマルっぽいコートが新鮮な気がします。
細身で丈を心持ち短めに仕立てたパンツ、華奢なつま先の靴を合わせて。
ここに欲しいのが、ウールやカシミアであればフルーツカラーのマフラー。
レモンイエローやボルドー色、ブルーグリーンなどの、
甘酸っぱい香りがしそうな色合いのマフラーがいいですね。
シルクやそれらしい素材であれば、凝ったペイズリーや花柄など、
綿であればエキゾチックなタペストリー調の柄のもの。
それらの大判スカーフを、カッチリしたチェスタートンの
首元にラフに巻いてみてください。
伊達なイタリア男のような色気が醸しだされる……かも知れません。
カバンは思い切ってトートバッグはいかがでしょう?
この際、キャンバスなどの綿というより、革のシンプルなトートバッグがおすすめ。
この冬は洒落っ気たっぷりのマフラーとトートバッグという小物で
ちょっと変化を取り入れても楽しいかも。
ところで、うちの近所に小さなカフェがあります。
なんとハワイアンカフェで、今人気のパンケーキやエッグベネディクト、
パイナップルジュースやマンゴージュースなんかが飲めて、
しかもやたらおいしいのです。
で、ハワイというと想像しがちなお店、
つまりヤシの木やココナッツやハイビスカスのレイなんかの装飾満載で、
派手で陽気で誰にでも「アロ〜ハ!」みたいな、イケイケなスタッフがいて、
という感じではなく、気弱そうで胃腸も弱そうな、
控えめなおじさん店長が黙ってパンケーキを焼いてくれるという、
この人はなぜハワイアン・カフェを営むに至ったのか、
かすかに前職が気になるという、そんなお店なのです。
で、インテリアときたら、今流行りのシャビーシック&レトロなスタイル。
シャビーの本来の意味は、着古した、とか、使い古した、とか、古ぼけている、
などの意味ですが、それにシックがついてシャビーシックになると、
時の経過にさらされたレトロ感漂う雰囲気、というような感じになります。
特徴としては白塗りのペンキが剥げかかっている木の壁(のように見える壁紙)や、
そんなふうに見えるフローリング、レトロな小物使い。
食器やカトラリーもそれ風です。
そして忘れてならないポイントが「手作り風」。
これが今、「流行りのカフェ空間作り」に共通するキーワードです。
ホームセンターで材料買って日曜大工で作りました、
という手作りな感覚が親近感と、リラックス感をもたらし、
オシャレなんだけど落ち着ける、癒される、という心情を抱かせます。
今どきのカフェに求められるのは、「おうちみたいなカフェ」であり、
そのくせ、自分の家では到達できていないおシャレ空間なのです。
一方、本屋さんに並ぶ女性誌で、インテリア系のものを見ると、
盛んに躍っているキャッチコピーがあります。
「カフェみたいなキッチンにリフォーム!」
「お部屋をカフェみたいに大変身!」
しまいには「カフェみたいなおウチに住みたい!」
これはどうしたことでしょう?
カフェとは昔でいえばナポリタンもある喫茶店やスナックですが、
10年や20年前まで「お部屋を喫茶店みたいに大変身!」
というキャッチコピーが盛んに躍るなんてことはありませんでした。
これはやっぱり、おうちみたいなカフェを愛するがゆえの感情でしょう。
「じゃ、うちをカフェにしちゃえばいいいんじゃない?!」みたいな。
かくして、キッチンのシンクやガステーブルの上の棚、
その扉が黒板になっていて英字でメニューが書いてある、なんていう
インテリアが最近は旬のようです。
(黒板専用の塗料があり、それを塗れば木の戸棚でも壁でも黒板にできます)
カフェは個人宅に仮装し、個人宅はカフェに仮装する。
とにかく日本人は仮装が好きな人種なのね。
ハロウィーンの盛り上がりもここに要因があると思う。
この冬は、個性的なマフラーやスカーフで、
伊達男に仮装してみてください。