♪もうすぐ春ですね!

いつまでも寒いと思っていたら、今日は3月の陽気だそうです。
近所では梅の花が咲き始めていたし、
あちこちで木々の枝の新芽が膨らんでいます。
もうすぐいっせいに花が開くのだろうと思うと、心が弾んでくるし、
自然はいつも元気をくれます。
♪重いコート脱いで出かけませんか?
というのは、キャンディーズの往年のヒットソングの名フレーズ。
服が薄くなると、なんだか気分まで軽くなりますよね。

冬の間、重宝していたダウンやカシミア、ウールやツイードなどのコートとも、
そろそろ、しばしのお別れです。
春先のコートはスプリングコートとも呼ばれます。
暖かい中に時折まだ肌寒い日もあるのがこの時期の特徴。
とくに梅雨の頃は予想以上に寒い日もあります。
春先と秋口に重宝するのが薄手のコートですが、
春専用に、ちょっと明るい色調のものを一枚持っておくのもおすすめです。
トレンチコート型やステンカラーのマッキントッシュ型、ピーコート型などは、
ビジネスにもカジュアルシーンでも着られるので、
淡いベージュやブルー系、少しピンクがかったグレー系などを選べば、
スーツにも合うし、ジーンズスタイルもスタイリッシュに決められそうです。
着丈は長いものより七分丈のほうが、
コーディネートの着回しがしやすいので、よりおトクといえそう。
たとえば、コートの中では最もフォーマルな格付けといわれる、
英国紳士御用達のチェスターフィールドコートなどは、
(あの人気TVドラマ「相棒」の杉下右京愛用のタイプです)
ロング丈の冬物だと、中は三つ揃いの英国調スーツでキメたい所ですが、
コットンやリネン素材で七分丈の春仕様のものなら、スーツにはもちろん、
ロンドンストライプやデニム素材のドレスシャツと合わせて爽やかにキメられます。
ボトムはジーンズにローファーなんかを合わせれば、
たちまち粋なヨーロピアンスタイルの完成です。

いずれにしろ、春仕様のコートは比較的ベーシックなデザインがおすすめ。
着る期間も短いので、あまり頻繁に買い換えないと思うし、
なるべく長く着られるようにするためです。
といっても、「定番の形だから10年も20年も持つ」と思って、
バブルの頃に奮発して購入した、
海外一流ブランドのスーツやコートが、
今となっては肩幅デカ過ぎ、身頃のシルエットがどうにも変、
などという理由で着られなくなっている中高年の方も多いのでは。
第一、体のシルエットが激変して着られない、という場合も。
ともあれ、まあ、2013年現在の定番におけるトレンドは、
肩が極端に大きいとかはないので、
少なくともあと3年は着られるんじゃないでしょうか?
3年後に極端に肩幅が狭い服が流行っている、
あるいは肩がむき出しの服が流行っている、
なんてことになっていた場合はお許しを。
で、ステンカラーやチェスターフィールドのようなキマジメな印象のコートの中は、
ピンク系やブルー系の、明るい色彩のドレスシャツを合わせたり、
赤やグリーンなどの差し色が効いたニットを合わせたりして、
一点、華やかさを加えてみましょう。
春らしくて、キマジメなコートとのギャップに女子ゴコロがそそられます。

新鮮!衿付きカーディガン

ついこの間、年が改まったと思ったら、
もうひと月が過ぎました。
今は一番寒い時期とはいえ、陽も少しづつ伸びています。
一番寒いということは、春はもう隣まできているということ。
木に咲く花もそろそろ蕾がほころびかけています。

とはいえ、やはり寒いのは事実。
近頃、目につくのが、メンズの個性的なカーディガンです。

従来、男性のカーディガンといえば、V衿が定番です。
編み目はハイゲージといわれる細い編目の天竺編などが王道。
ローゲージといわれる、太くて畝が目立つような編み目で、
襟付きのカーディガンとくれば、
ちょっと「おじいちゃんのホームウェア」的イメージでした。
ところが、最近、つきあいのある会社の、
オフィス内などで印象に残ったメンズカーディガンは、
ローゲージで衿付き、ダッフルコートのようなトグルの留め具付き、
あるいはローゲージでへちま衿付き、雪の結晶模様の編み込み、
または丸首でレンガ色にベージュの、ちょっとかわいい柄の編み込み、
はたまたエスニックぽい図柄のハンドニット風なものまで。
オフィスで手編みとかエスニックとかって、メンズでもあり?
と新鮮な驚きでした。
男性陣もレディスに負けず、カーディガンのバリエーションを
いろいろ楽しむようになっているのだと、
今さらながら思いました。
もちろん、ブランドやメーカーでは以前から色々作って、
市場には展開していたものの、
当のユーザーたちは腰が引けていたという感じではないでしょうか?
それが、最近は、カーディガンもV衿の定番じゃなくてもいいんじゃない?
という風潮になってきたというか。
で、そういうチャレンジ精神のある人は決まって足元もこだわりが見えます。
衿&トグル付きネイビーのローゲージカーディガンを着ていた、
60代前半らしき紳士は、
ダークブラウンの上質そうなスエードのスリッポンをはいていました。
シャツはネイビー系のごくごく細かいギンガムチェック。
パンツはダークなモスグリーンの細コール。
パリのおしゃれなおじさんみたいな人が増えているのだなと感じさる今日この頃です。

衿のあるカーディガンはタイ着用でもノータイでも
ジャケット変わりの効果があって様になります。
タキシードのデザインのようなカーディガンならボウタイさえ似合いそう。
最近はボウタイにトライしている若い男性もチラホラみかけます。

自然も町の風景も気分も一新する季節がもうすぐそこまできています。
今年の春は新しいファッションやアイテムに挑戦してみては?

春隣

あけましておめでとうございます。

元旦は素晴らしい天気でしたね。
気持ちのよい青空のような1年になりますように。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

タイトルは季語で、「春はもうすぐそこ」のような意味らしいです。
そして写真は羽田空港国際線ターミナルのイリュミネーション。
京都西山の孟宗竹100本を使ったもので、普通の樹木より、
幻想味がより強いような気がします。
点灯は、16:00~25:00、2/18(月)まで。

新しいシャツの喜び


泣いても笑ってもあと一日。
昔の人は、大晦日によくそんなことを言いあっていました。
子どもの頃、それを聞く度に
「たとえ泣こうが笑おうが、年があらたまることを止めることはできない、
年は絶対的に暮れて、そしてお正月がくるのだ」という意味に解釈していました。
でも、今、考えて見ると、別のニュアンスが浮上してきます。
「たとえ泣いていようと笑っていようと、
大晦日が過ぎれば、新しい年になるんだ」的な。
まあ、言葉にしてみると同じような感じですが、
「年が新しくなるのを止めることはできない」というのと、
「たとえ悲しくても楽しくても、年は変わるんだ」というのでは、だいぶ違います。
後者には、歳月の経過がもたらす癒しに、私たちは救われているんだという、
日本人の無常観が現れているのでは?
なんぞと思う、大晦日であります。

お正月といえば、同時に初売セールがスタートします。
ファッションビルやデパートでもいっせいに。
その中で、渋谷の東急百貨店東館の閉店セールの広告が印象的でした。
「さようなら東館 東横店78年分の全館ありがとうセール!」という。
創業78年。渋谷の東急百貨店はこの東館からスタートし、
その後50年代中期と70年代に
西館、南館が増設されました。
高度経済成長の時代、当時、東横の名で知られた東急百貨店は、
建物と建物の間を高架の電車が通過し、
とても近未来的な光景を描いていました。
バスターミナルから見える駅舎も今となってはレトロモダンともいえる、
きわめてモダンなデザインでした。
東急百貨店と向かい合う位置には東急文化会館があり、
館内にあったプラネタリウムの丸いドーム屋根も、
渋谷駅界隈の近未来感を醸し出すのに一役買っていたと思います。
新宿とは違う渋谷の個性は、1950〜60年代に東急グループが描き出した、
このモダン感覚が大きな役割を担っている気がします。
その後、70年代に入って公園通りに西武百貨店やPARCOが登場し、
渋谷を一気に『新し物好きワカモノ向けサブカルタウン』に仕立て上げるまで、
あの街は東急が作り上げた右肩上がりの経済状況を象徴する、
『ファミリー向け明るい近未来タウン』だったのです。
その東急文化会館の跡地に、先頃オープンしたのが、渋谷ヒカリエ。
館内に新設されたシアター・オーブという劇場に行ったのですが、
当然ながら東急文化会館の昭和の香りは一掃され、
同じ場所にあるとは思えない感じでした。
渋谷駅からヒカリエまではガラス張りの渡り廊下を渡ります。
東急文化会館の頃は、ただの通路的渡り廊下だったなあと思いながら、
その橋を渡ると、レトロモダンな渋谷駅の駅舎が見えました。
昭和と平成が一体となっていて不思議な眺めです。
東急百貨店東館も近々に取り壊され、新しいビルがオープンし、
渋谷駅は変わると広告では唱っています。
限りなく昭和臭プンプンだった東横がなくなるのはとても寂しいのですが、
繁華街の景色が新しくなれば世間も勢いづくというもの。
あの頃のような右肩上がりの情熱を、もう一度日本が燃やすことができたら。
今、せつにそう願っています。
やっぱり買い物って楽しいですよね。
気持ちに弾みがついたりします。
新しいシャツに袖を通す時のワクワク感。
それだけで、家を出るときの一歩が昨日よりだいぶ軽く感じられるような。

ともあれ。
今年もどうもありがとうございました。
そして来年もどうぞよろしくお願いいたします。
みなさま、よいお年をお迎えください。

画像は渋谷ヒカリエ内、シアター・オーブのロビーです。

新総理のクレリックシャツ

今年も、残す所あと1日です。
あっという間にまた1年が過ぎ、この冬、3年ぶりに政権が変わりました。
正確にいえば、3年ぶりに自民党に戻ったわけで、
3年前のあの熱狂的な民主フィーバーが空しく思い出されます。
恒例(?)、新総理のファッションチェックとしては、
安倍さんは、オーソドックススタイルを好むダンディという気がします。
夫人もオシャレですよね。
この前、安倍さんが報道番組にでていた時のスタイルは、
チャコールグレー地にブルーのペンシルストライプのスーツ、
サックスブルーに白衿のクレリックシャツというコーディネートでした。
タイは、紺地に小花状のモチーフと勾玉状のモチーフが小紋になった粋なもの。
さすが毛並みのよさを感じさせるダンディぶりです。
麻生さんのこなれたスタイリングに比べると、ちょっと優等生的ですが、
それでも服の着こなしが板についている感じがします。
ともあれ、安倍さんはとにかくクレリックシャツがお好きなようですね。
このシャツの魅力は、身頃と衿の色が違うことで、おしゃれ感が増す所。
これ1枚で、自動的に「こだわってる感」が醸し出される所でしょうか。
と同時に、安倍さんのようにストライプのスーツで決めればバリっとして、
ちょっと派手で、フォーマル感も出ます。
そういえばチャールズ皇太子がカミラ夫人との再婚式に、
クレリックシャツ+モーニングというコーディネートだったことが
話題になったこともありました。
かと思えば、カジュアルなジャケットにノータイでジーンズと合わせれば、
それだけで様になる、多様性のあるアイテムです。
この冬注目の、衿のあるニットのカーディガンを合わせても、
個性的なスタイリングができそうです。

 

ジングルベルと銀紙のブーツ

めっきり寒くなって、イルミネーションの似合う街になりました。
樹木の葉も色づきはじめ、街の景色が変わる頃です。
そろそろ忘年会や納会はじめ、イベントやパーティが増える時季ですね。
近頃は週末になると、私の住む街でも駅前は夕方からほろ酔い気分のグループや、
すでに酔っ払って道に座り込む友人を介抱するワカモノなど、
賑やかな光景に出くわします。
ホワイトクリスマスやジングルベルが流れると、
いつかココロは遙か彼方の過去へ。
なぜかクリスマスは子どもの頃の記憶が蘇る時季でもあります。
私が小さかった頃、世の中は右肩上がりの高度経済成長真っただ中でした。
井の頭線渋谷駅がまだおんぼろだった頃、
今のコンコースに上がるエスカレーターのあたりに、当時、不二家がありました。
毎年クリスマス時期になると、店の軒先に銀紙で作られた長靴がズラリと並べられます。
中にはミルキーやパラソルチョコが入っています。
そして店から聞こえるBGMは当然、ジングルベル。
酔っ払って浮かれたサラリーマンのオジサマ方が行き交う中、
軒先でキラキラと輝く銀紙の長靴。
我が家もあの当時の東京のサラリーマン家庭のご多分に漏れず、
母が(今思えばかなりショボイ)ローストチキンやクリスマスケーキを用意して、
親戚を呼んで「クリスマスパーティ」などもしたのですが、
パーティーというにはほど遠い、単なる親戚の集まりに過ぎず、
そのあたりの記憶は二の次感がぬぐえません。
クリスマスといえば、真っ先に思い出すのは、
大音声で鳴り響くジングルベルと、不二家の軒先の長靴!
そして酔っ払いのサラリーマンのオジサマたち。
日本も世界もまだ若くて、やる気満々で、
聖夜というのにわけもなくハイパーだったあの頃。
という甘く切ない記憶が胸の奥でうずく今日この頃。
みなさま、クリスマスはいかがお過ごしのご予定でしょうか?
仕事終わりにいつものスタイルで、
クリスマスディナーやパーティー的なものにお出かけの際は、
カフスやピンで華やかさを演出して気分を盛り上げてみてください。
あるいはデニムのシャツに、ちょっと粋なイタリアンテイストのタイを結んでみたり。
そんな時はネイビーやグレー、ダークな色目のチェックのマフラーなどでなく
あでやかな色目のタータンや大胆な配色のストライプなどをチョイスすれば、
ココロはもうルオモ・ヴォーグ(イタリアの代表的なメンズファッション誌です)。
足元はブラウン系のスエードのモカシンやローファーなどがおすすめです。

デニムな秋

キンモクセイの香りと少し茶色味を帯びた樹木。
季節はめぐり、秋も深まりつつあります。
そろそろ秋冬の新しいアイテムを揃えはじめている人も多いのでは?
長く暑かった夏の間、引き算のコーディネートで落ち着いていた反動のように、
空気が冷え込んで風が冷たくなってくれば、
あれこれ足し算のコーディネートへの期待も高まります。
タイを合わせたシャツスタイルに、カーディガンやジャケット。
スカーフ、マフラー。
ファッションの醍醐味が味わえる秋冬シーズンのはじまりです。

今年の秋冬はアメリカンカジュアルをヨーロピアンで。
そんなスタイリングが新鮮です。
たとえば注目はデニムシャツ。
デニムといえばアメリカンカジュアルのチャンピオンのようなアイテムですが、
昨今、イタリアやフランスといった地域の
世界的ファッショニスタの間で、
着こなしのスパイスとして重要な位置を占めるアイテムです。
シャツにタイ、ジャケットといったスタイリングの場合、
ストライプやギンガムチェックなどと同様、
個性的でスタイリッシュな印象を醸し出せるのがデニムシャツの魅力です。

デニムといえば、ダンガリーとどう違うの?という疑問が浮かびます。
これは織り方の違い。
タテ糸がインディゴ、ヨコ糸に生成を使って綾織りにしたものがデニム。
横糸が生地の裏側に出るので、裏が白っぽく見えるのが特徴です。
ジーンズを裏返して見ると、オモテのインディゴブルーに比べ、
裏は白っぽいですよね。
デニムの語源はフランス語の「セルジュ・ドゥ・ニーム」といわれます。
「ニーム産のサージ生地」という意味なのだそうです。
一方、ダンガリーはタテ糸に生成の糸、ヨコ糸にインディゴ染めの糸を使った綾織物。
語源は、この織物の産地、インドのムンバイにあるダングリという地名なのだそうです。
さらに、ダンガリーより薄くて、よくシャツに用いられるシャンブレーは、
タテ糸にインディゴ糸、ヨコ糸に生成り糸を使った平織物のことです。

ダンガリーのシャツというと、60年代のアメリカのフォークシンガー、
ジェームス・テイラーを思い出します。
彫りの深い知的な風貌とストレートのロングヘア。
アルバムカバーで着ていたダンガリーシャツは、
60年代のファッションアイコンといえます。
当時は自由な精神・若者・青春のシンボルのようだったデニムやダンガリー。
あの頃の若者が、今はその年頃の子どもや孫を持つ年代に。
デニムやダンガリーのシャツも、彼らの成熟とともに、
より洗練されたものに変わって来ました。
でも、やっぱり、どこかに若々しい粋さを備えている。
そんなデニムシャツで、この冬をスタイリングしてみてください。

*写真はジェームス・テイラーのアルバム”Sweet Baby James”

真夏のニット・真冬のTシャツ

今年の夏は本当に長くて、
9月に入っても残暑がしつこく残っていました。
そのせいなのか?
暑さにあきたといわんばかりのワカモノをよく見かけました。
なぜ、この亜熱帯のようなトーキョーで、
真夏にニット帽をかぶる?
なぜ、37度とか、もう風呂すら沸きそうな高温多湿なトーキョーで
真夏にムートンを履く?

もう、どう考えても頭は汗もだらけ、
足は煮えたぎっているのではありませんか?
で、ニット帽をかぶったお兄さんはタンクトップにハーフパンツ
足元はサンダル。
ムートンのお兄さんも半袖Tシャツにハーフパンツに普通のハット。
というわけで、全体は夏仕様なのに、
ワンアイテムのみ冬仕様。
これってコーディネート的盲点といえるかも知れません。
暑いのにご苦労様なことですが、
最近は本当にオールシーズン、好きな服を着ている人が多いですね。
「衣替え」を実践しているのは制服のある方々だけなのでは?

大昔、イギリスのロックミュージシャンたちの写真を見て、
いつも不思議だったことがあります。
そして大昔のロック少年少女なら、
誰もが一度は、この謎をめぐって意見交換したことがあるはず。
それは「なぜ、毛皮のコートの人の隣に、半袖Tシャツの人がいるのか?」
というミステリー。
たとえばそのロックバンドのメンバーが毛皮や革ジャン、
アフガンコートなどを着ているとすると、その中に必ずといっていいほど、
一人か二人は半袖Tシャツを着たメンバーが写っているのです。
(注=毛皮のコートは60年代のイギリスのロックミュージシャンの
お約束みたいなアイテムでした。新品でなくフリーマーケットで仕入れたもので、
それがまたカッコいいのでした)
いったい季節はなんなのか?冬か夏か。
その後、実際にロンドンに行ってみたら、
本当に真冬でも半袖Tシャツの人がひんぱんにいて、
驚かされたものです。
つまり、ほとんどの日本人より体温が高い人が、
あの国にはたくさんいるということなんだと思っていました。

で、最近気がついたのですが、うちにくる宅配便のお兄さんは
冬でも制服が半袖のTシャツだったりします。
日本人も案外体温高いのか?
とはいえ、日本ではいくら暑くても
冬には冬らしいカッコをするというルールのようなものがありました。
いくら寒くても夏にニット帽はかぶらなかっただろうし。

今や、夏にムートンのブーツを履くツワモノもいて。
服の季節感やルールが曖昧になっている昨今。
一方で健康や食育ブームで食べものの旬が見直されている昨今。
カラダはあっちこっちに右往左往ですが、
そうして居心地のいい所を探しているのかも知れません。
いつか行き着く先は、ベーシックな正統派かも知れないし。

ともあれ、炎天下のニット帽は熱中症予防にいいのか悪いのか。
答えがわからない状況です・・・。
体験者の方が居たらぜひ教えていただきたい。
どうぞよろしくお願いいたします。

ペイズリーの神秘


やっと涼しくなったと思ったら、
今度はダブル台風の接近で妙にムシムシします。
そうでなくてもこの時期は、着るモノに悩みますね。
シャツに薄手のジャケットやカーディガンが無難なところですが、
スカーフ1枚でも案外暖かいもの。
首回りを覆うことによって襟元から冷たい空気が入るのを防いだり、
体温が逃げるのを防いだりするので、
防寒という意味では、薄い上着くらいの威力があります。
最近は大判の綿のスカーフをコーディネートしている人も多く見かけます。
数年前までは、大判のスカーフといえば、
女性か、かなり自由度の高いファッションの男性の御用達だったのが、
近頃は普通にビジネスマン的スタイルに合わせているので、
ビジネスシーンでの選択肢もどんどん広がっていると感じます。

大判スカーフでないにしても、小ぶりなスカーフやアスコットタイで、
防寒コーディネートを楽しんでみてください。

今年、ショップなどの店頭で、
特に多く見かけるスカーフやタイが、ペイズリー柄です。
もちろん、不滅の人気柄ですから、いつでも途切れることなく
店頭に並んでいるのですが、ここしばらくは、ブーム再来といった状況です。

ペイズリーといえばまず思い出されるのが、リバティやエトロ。
それらのブランドの生み出す緻密な細密画のようなペイズリーから、
バンダナのプリントのような簡略化されたペイズリーまで。
一家に少なくともひとつはこの柄のアイテムが存在しているのではないでしょうか。
どこかエキゾチックで中近東の香りがするこの柄、
ペルシャ生まれ(現在のイラン)、インドのカシミール育ちといわれます。
かの地でこの柄のショールなどが織られるようになり、
植民地として統治していた英国に伝わりました。
18世紀になってからスコットランドのペイズリーという都市で、
この柄の織物が量産され世界的に広まったために、
地名がテキスタイルの名称として定着したのでした。
織物としてはじまったペイズリーですが、
近年はリバティはじめ、プリント柄がメインになっています。
ちなみにリバティのペイズリーは19世紀に英国のデザイナー、
ウィリアム・モリスによって描かれたものです。

ペイズリー柄の図形は、松かさや菩提樹の葉など植物特有の曲線、
陰陽太極図や勾玉など水滴状のものを象ったといわれます。
緻密に描かれたペイズリー柄を見ていると、
その中に生命体までも潜んでいるのでは?と思えるほど宇宙的な感じがします。
植物を細胞レベルまで描いたような図柄の神秘性が、
私たちを永遠に惹きつけているのかも。

ハヤリスタリもない柄ですが、
60年代にサイケデリックな音やスタイルが流行った頃は、
ミュージシャンが盛んにペイズリー柄のモチーフを取り入れていました。
80年代に入ってからもその傾向は同じで、現在もその流れと言える
「サイケデリック・ペイズリー」というスタイルが残っています。
蛍光色を多様して、より宇宙観かつ幻想性を倍増して、
ポップにアレンジしたものです。
ほかにもハヤリのスカルを入れ込んだものや、
薔薇や小花とペイズリー柄を組み合わせたものなどもあります。
クラシカルで古典的なペイズリーの魅力に惹かれるからこそ、
こうしたアレンジが次々に生まれるのではないでしょうか。

年代や性別を問わず使える柄ですが、
それだけならほかにも水玉やストライプ、チェックなどもあります。
加えて華やかさや豪華さも、となると、
やっぱりペイズリー柄が首位独占。
フォーマルにもOKの風格は他の追随を許しません。
ともあれ、今年の秋冬は無地のシャツに
金茶系ペイズリー柄のスカーフなどでポイントを加えてみては?

胸元のギャラリー

今年の夏は灼熱の暑さというより、とにかく蒸し暑いという印象。
しょっちゅう台風前夜のような、湿った熱い空気を感じます。
というわけで、長く暑い夏にウンザリな今日この頃。
ショップなどでもクールビズ続行中で、
男子店員の方々は相変わらずのノーネクタイです。
で、メンズのアパレルでもちょっと高級感のあるショップでは、
シャツにジャケット、そしてポケットチーフというスタイルが目立ちます。
先日、バッグ専門店に行った時は、
ワインがかった濃いピンク系のシャツにグレイのジャケットを着た店員さんが、
ワイン系のペーズリーのポケットチーフをしていて、
スタイリッシュな雰囲気を醸し出していました。
ネクタイがなくても、ポケットチーフをしたとたんにフォーマルな雰囲気になります。
歴史的にもポケットチーフが登場した19世紀にはネクタイ以上に、
これなしで外出するなどありえない、という、
必須アイテムだったようです。
そもそも礼服の胸ポケットは、
ポケットチーフを入れるために生まれたという説もあるくらい。

冠婚葬祭では白無地のシルクなどが無難かも、ですが、
パーティや普段のスタイリングなら、
色々なテキスタイルで冒険してみてもいいですね。
シルク製などのそれ専用のポケットチーフ以外にも、
ローンや麻のハンカチ、ミニスカーフなどでトライしてみても。
元来、ポケットチーフの正体はハンカチなので。
ちなみに英語ではポケットスクエアといいます。

無地のシャツやジャケットには同色系の柄物、
あるいは思い切りカラフルな花模様や水玉なんて合わせてもよさそうです。
チェックやストライプのシャツにジャケットの場合は、
同色系の無地でフチに異色のトリミングがあるもの、
あるいは色違いの2枚を合わせても。
その場合はきちんと折るより無造作なパフドで、
1枚は膨らんだ方を、もう1枚は先端を出して変化をつけて合わせると、
よりスタイリッシュになりそうです。
抑えた色目の仕立てのいいシャツやジャケットに、
鮮やかな色目の花柄のポケットチーフを合わせたりする、
やや上級テクニックのコーディネートにも、
ハンカチなら失敗を恐れずにトライできそうです。

仕事帰りに遊びに行く時など、
ちょっと遊びのあるテキスタイルのチーフで、
気分転換も兼ねてスタイリングしてみるのも。
「ポケットチーフなんて照れくさいし」という場合は、
無造作に四角く折って「あくまでもハンカチだし」という顔で入れて見るのもアリです。
その場合、なるべく派手な色や花柄なんかの目立つものをチョイスするのがおすすめ。
地味なヤツだと本当にただ胸にハンカチ入れてるだけの人で、
おもしろみもなんにもないですから。
ともあれ。
カジュアルウエアにコーディネートするポケットチーフはアクセサリーのようなもの。
胸元に小さな小さなギャラリーがある感覚で楽しんでみてください。