アフター5のシンプル&効果的なコーデ

最近、何回見に行っても長蛇の列で、ついココロ折れてしまうのが
上野の森美術館で開催中の「怖い絵」展です。
公式HPでの解説によれば、
「視覚的な怖さだけでなく、隠された背景を知ることで判明する恐怖まで、
『恐怖』をテーマに約80点の西洋絵画・版画を展示。
●「この絵はなぜ怖い?」その怖さを読み解くヒントとともに絵画を鑑賞!
●ターナー、モロー、セザンヌなど、ヨーロッパ近代絵画の巨匠による”怖い”作品もセレクト!
本展最大の注目作は、ポール・ドラローシュの大作《レディ・ジェーン・グレイの処刑》」とのこと。
そうしたシーンが西洋絵画ならではのリアルなタッチで描かれた作品のオンパレードで、
怖いもの見たさの人が私も含めどれだけ多いことか。
開催直後に行ったときは1時間待ちで、行列が苦手の私はそく挫折。
同じように観たかった「マジカルアジア展(国立博物館東洋館で開催)」に行ってしまいました。
次に「怖い絵展」にトライしたときはなんと3時間半待ちに膨れ上がっていました。
行列は公園の端の方まで伸び、木立に隠れて最後尾が見えないほど。
当然この日も挫折し、国立科学博物館で開催の「古代アンデス文明展」に。
おかげでアジアやインカの人たちの死生観をたらふく観るはめになりました。
どちらもミイラの展示が含まれ、古代の人たちにとって、
死は最大のイベントだったのだと再認識しました。
アジアでは人の死後は、グレードが上がったり神になったりすると考えられ、
インカでは人の死後はミイラになってそのまま生き続けると考えられていたとか。
家族のようにいっしょに生活し、服を着替えさせたりご飯をあげたりしていたのだそう。
怖い絵展よりずっと怖い展示物がありましたが、
いずれにしろ、古代の人達にとって死は現代よりずっと謎で、
恐れるあまり生は別の次元を生きること、と信じるよりなかったのでは?
と思いましたが、死のメカニズムが解明された現代でも、
人は大切な人の死を受け入れがたく、
いつも心に生きていると思う人が多いのでは?
何百年経っても、人の気持ちのはさほど変わっていないような……。

どちらの展覧会も「怖い絵」展の挫折組と見られる人たちで混雑していたのですが、
いずれにしろ上野は美術・博物館が集結しているので、
どこかで何かが見られる、ありがたいところです。
上野公園内は最近特設のイベント会場が作られていたり、
カフェが増えたり、数年前と比べるとプレイスポットとして飛躍的に進化しています。

そんなわけでいまだに「怖い絵」展を観られていません。
きっと、観ないうちに終わってしまうんだろうなあ、と予想しています。

最近、週末の金土は夜の8時頃まで開館している美術館が増えたのもありがたいことです。
昔は国立などの公的な施設は4時半に入館締め切りなんてザラでした。
会社勤めしている人は日曜日の昼間しか観に行けなかったのです。
5時や6時に仕事を終えてから美術館や博物館に行って、
2〜3時間楽しめるという、いい時代になってきました。

舞台も、7時開演というのが増えているので、
これまた仕事終わりに行けるようになっています。
演劇のメッカであるロンドンなどでは、8時開演という舞台も珍しくありません。
歌舞伎のように4時間くらいある舞台をほぼ一日かけて楽しむというのも
ココロ惹かれますが、そうそうできないリッチな遊びです。
やはり、週末の仕事終わりなどに、
気軽に展覧会や演劇、ライブが楽しみたい。
気分転換にもおおいに役立ちそうです。

そんなとき、気になるのがアフター5のスタイリング。
スーツで行っても別におかしくないし、
それなりにスタイリッシュなスーツも色々あるし、
というのも事実ですが、
「今夜は若い観客の多い舞台やライブだし、
ここはちょっとした変化が欲しい、
でもオフィスから直行で着替える時間がない」、という場合は?

●ネクタイを変える、またはタイを取ってスカーフにする

スカーフは夏場はコットン、冬は薄手のカシミアやパシュミナなどでカラフルなものを。
長さのあるものをクルクル巻くことで、スーツ姿でもビジネス感のない洒落っ気が出ます。

●チーフを遊び心あるものに変える

粋な大柄水玉や、トレンドの写実的な花模様など、普段より少し派手なタイプに変えてみては?
これならポケットから取り出してすぐチェンジできそうです。

●ジャケットを変える。
ちょっと光沢のある素材のもの、あるいはストライプ、思い切って最近のトレンドのミリタリー調?
パンツやシャツなどはそのままで、ジャケットを着替えるだけでいきなりスタイリッシュに。
あるいはジャケットを脱いでこれまたトレンドのカラフルなカーディガンに変えてもいいですね。

●タイピンやカフス、ラペルピンで遊ぶ

舞台やライブにちなんだモチーフのものにしてみるなど、
これまた気がつく人は気がつくおしゃれ。
アクセントやスパイス的なものにこだわって選ぶと、
スタイリングの仕上がりに奥行きをもたらしてくれます。

●スーツもコートもそのままで、靴下だけ思い切り派手にする
グレー系のスーツにネイビーやキャメルのコート、ローファーやウイングチップといった、
ベーシックでビジネステイストなコーディネートに、
花柄やダークなラメ使いのペイズリーなどの靴下をあわせる、
などという、気がつく人は気がつくというスタイリングは、
案外、遊び気分を盛り上げてくれるものです。

時間のないところで効果を生むシンプルコーデのテクニックは、
そんなところでしょうか?
ちなみに、観劇やライブ時は重くてかさばるコートは邪魔になるので、
そんなときのために軽目のダウンコートなどを持っていると便利です。
軽めのダウンなら無理矢理でも畳んでバッグにねじこめば収納できます。

などと、アフター5は、限られた条件下でファッションをアレコレ考えることになり、
そこにまた楽しみが加わるのではないでしょうか。

そういえば本屋さんで「これを読めばもう着るものに悩まなくていい」
というようなタイトルの本を見て、違和感を感じました。
着るものに悩む楽しみって、着ることの楽しみと同意語じゃないんでしょうか?
その楽しみを奪わないで欲しい、と思ってしまいました。
おおいに悩んで楽しんで、自分的コーデの達人になりましょう。

*写真は、上野の国立博物館資料館の夜景と、上野の森美術館横に掲示された「怖い絵」展の看板。

リノベやDIYで、スタイリッシュな空間を実現


首都圏はいきなり寒いです。
11月でこの寒さは36年ぶりなのだとか。
最近そういう、何十年ぶりの猛暑とか豪雨とか低気温とか多いですよね。
かつて異常であった現象が、通常になってきている、
私たちはその変化への急速な対応を強いられているわけですが、
なかなかうまく行きません。
昨日までずっと暑ければ、「今日は急に寒いですよ」と言われても
気持ちがまずついて行けない。
気持ちも体も、今仕様にリフォームしていかなければならないわけですよね。

リフォームやリノベーションといえば、
最近は「リノベ」と省略化された程、家の改装がトレンドです。
新築を購入するにはお金がかかるし、
そこで中古の手頃なマンションや一戸建てを購入してリノベする。
あるいは古い自宅や親族から譲り受けた家をリノベする。
全面的に施工会社に頼む人や、
基本的な部分を大工さんや専門家に頼んで、
あとはDIYで自分で直す人と、方法もさまざまです。

ファッションやデザイン業界ではレトロスタイルが定着していることもあり、
自分の住空間もアメリカンやヨーロピアン、
シックスティーズや昭和テイストにしてみたり、
1940〜50年代のニューヨークスタイルにしてみたり。
テレビのコマーシャルやドラマ内で表現されるインテリアも、
レトロな空間が目立ちます。
ファッションのジャンルが多様化している今、
住空間の好みも多様化していて、
最先端を好む人から、過去へのノスタルジー派までさまざま。
その一方、北欧モダンを取り入れたシンプルスタイルの住宅は、
グローバルスタンダードと化しているようで、
海外のニュースに出てくる家並を見ると、最近建てられたとおぼしきものは、
世界的にみんなとても似通っています。
ファッションに続き、家のデザインも地球規模で共通化しているのが、
興味深い現象です。
東京郊外の街を歩いていると、
古き佳き農家の庭に、母屋とは国籍が違うのかというような
白を基調とした北欧モダンの家が建っていたりして、
ウッドデッキのテラスにモダンなファニチャーが置かれていて、
庭の片隅の納屋には放置された農具がそのまま、という、
ひとつの庭に年代や様式の異なる世界が共存していて、
住宅博覧会のような楽しい景色に出会うことがあります。
家好きにとって東京郊外の町は、
ニッポンの住宅事情・過去と未来が現物展示で見られる宝庫です。

そんな中、空間保存された昭和中期に出会える場所が団地。
1950年代から、若き労働人口を受け入れるため
続々建てられた集団住宅地です。
当時はモダンなライフスタイルを提案するスペースでもあったため、
最近のレトロブームで再注目されているところではありますが、
少し前からはその団地のリフォームに、
IKEAやMUJI、IDEEと言った、国内外のインテリアショップが参入したり、
著名な建築デザイナーが大幅なリノベーションを手がけて、
インテリアにこだわる若い層を取り込む動きが見られるようになりました。
そうした部屋では、普段からよく利用しているブランドの
世界観そのままの空間に住めるという次第。

これまでは、そうした業務はインテリアの会社の専売特許のようでしたが、
最近はアパレルブランドからの住空間への参入もチラホラ。
ユナイテッドアローズやジャーナルスタンダードなどが、
それぞれのショップのこだわりのインテリアを導入したリノベ空間を、
提案しています。
都内の優良中古物件はそれだけでも高いので、
アパレル産業がリノベを手掛けるとなると、
それなりの値段になりそうですが、
超スタイリッシュな空間をオーダーメイドでリノベするよりは、
時間的にもコスト的にもリーズナブルということかも知れません。

衣食足りて礼節を知るということばがあります。
「物質的に不自由がなくなって、はじめて礼儀に心を向ける余裕ができてくる」、
ということのようです。
そこからいえば、衣食足りて住を知る、といえまいか?
ファッション、グルメ、そしてインテリア。
セルフリノベのブームも、それを物語っています。

ところで、IKEAは昨年、本国でのキャンペーンで
「悩みを検索するとそれに合う家具が表示される」という画期的な方式を展開。
たとえば「彼が愛していると言ってくれない」という悩みを検索すると、
同じ商品名のIKEAの商品がヒットするという具合。
ちなみにその悩みへのアドバイスは「黒板」でした。
「娘が服を脱ぎ散らかす」という悩みへのアドバイスは、
高い背もたれに横棒が3本も付いていて、タオルや服がかけられる「椅子」。
つまり、多くの人たちが検索するお悩みを商品名にしてしまったわけです。
残念ながら日本のIKEAではそのキャンペーンはされていませんが。
家具や雑貨など、暮らしのものをひとつ変えたり新しくすると
気分も一新されもの。
インテリアは服と同じように、気持ちや呼吸に密着したものといえそうです。

*写真は、東京近代美術館で10月まで開催されていた「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」展の出品作のひとつ。
スキップフロアの多様で、狭小地でも空間が確保できるという提案。

トーマスメイソンの生地で、オーダー シャツ体験!!

朝晩、めっきり肌寒くなってきました。
冬のスタイリングの準備はお済みでしょうか?
カジュアルはもういくつか新作を確保したけれど、
ビジネスシーン用は迷っているという人もいるのでは?
そんな方におすすめなのが、11月21日からはじまる
土井縫工所の「トーマスメイソンフェア」です。

ご存知かと思いますが、トーマスメイソンは英国を代表する高級生地のメーカー。
その歴史は古く、創業はなんと産業革命さなかの1796年といいます。
多分世界で最も古く、また高級シャツ生地の商標としては、
おそらく世界で最も有名な存在といえるでしょう。

トーマスメイソンの創業当時の英国では、
生地はまだ各家庭や小さな店で手作業で織られていたのですが、
繊維業界で名の通る起業家だったトーマスメイソンが、
繊維の機械を揃えた工場をランカシャーに設立。
西インド諸島から綿花を輸入してシャツ用の生地を作りはじめたのです。
最高品質のシャツ生地はテイラーで高級シャツに仕立てられ、
最初は英国の貴族階級や富裕な上流階級の紳士たちに重用され、
次第に世界各地に輸出されていきました。
産業革命で経済発展を遂げたビクトリア期の英国は最盛期を迎え、
それにともないトーマスメイソン社も大発展し、
エレガントなメンズファッションを目指す際には、
同社のシャツ生地が基準になりました。
つまり、ロンドンのメンズファッションは世界の基準となっていて、
とくにジャーメイン・ストリートにあったトーマスメイソンのショップは
世界中のダンディーが注目し、目標とする「シャツの首都」でした。
やがて英国はビクトリア女王からエドワード5世へ、
そしてエドワード8世の時代へと移ります。
エドワード8世はかの有名な「王冠をかけた恋」で知られる王様。
国王でありながら平民のアメリカ人でしかも人妻のシンプソン夫人を恋人にし、
彼女を離婚させて王妃にするべく全力を尽くしていたものの叶わず、
即位後1年足らずで王の座を投げ捨て、
恋人との人生を選んだ情熱的な男性でした。
このエドワード8世、別名ウインザー公爵はイケメンのダンディーで、
趣味も恋も多いという魅力的な男性で「Prince Charming」と呼ばれていたとか。
その彼が、トーマスメイソンのシャツを愛用していたこともあって、
以来、王室御用達の生地メーカーとなり、二つの戦争を経ても、
英国を代表する生地メーカーとしての価値がゆるぐことはありませんでした。

1992年、トーマスメイソンはイタリアのアルビ二社の傘下に入りましたが、
2世紀の長い歴史と、伝統的で比類のない700ものファブリックデザインの
コレクションはそのまま。
それら歴史的なアーカイブのコレクションを生かしたファブリックは、
今も依然として、英国スタイルを愛する人々の基準となっています。

トーマスメイソンのコレクションはおもにSilver Line とGold Line の2 つ。
1992 年に発表されたSilver Line は、
高品質なエジプト産超長綿の双糸をベースに英国伝統の製法で作られ、
光沢と柔らかさに優れています。
Gold Line は1996 年、創業200年を記念し、
最高品質である極細の140 番手双糸を使ったラインとして誕生。
原綿は最高品質のGiza 45 とGiza 87 のみを採用しています。
GIZA 45は、ナイルデルタの東側という限られた地域で栽培され、
非常に長く細い繊維を持つ最高級のエジプト産超長綿です。
GIZA 87は、まばゆいほどの光沢とシルキーな肌触りに優れた超長綿で、
長年の着用や洗濯後もその風合や輝きはそのまま。
それらが失われることはないのです。

一度、トーマスメイソンの生地を仕立てたドレスシャツを身につけると、
原綿の品質のよさと代々受け継がれてきたクラフトマンシップが感じられ、
最高級のモノに包まれる豊かな気持ちを味わうことができます。
そして、その気持がずっと続く(品質が変わらない)ことが、
本当に高級なモノの底力なのだと実感させられます。

ところで、じゃあ、どのアイテムにすればいいの?とお迷いのあなたにヒントを。

【ドレスシャツをオーダーするときに押さえたいポイント】

① タイドアップを前提で考えれば、ネックサイズはマスト!
  首周りがスカスカ、またはキッツキツは避けたい。よく測ってね。

② 重要なのは「肩」!

肩さえしっかり合っていれば、バストやウエスト部分の運動量がちょっとくらい多くても、
見た目のスマートさは損なわれません。
逆に肩が落ちていると、一気にサイズが合っていないように見え、
入りすぎていると窮屈そうに見えます。
どちらも「合ってないシャツ着てるなあ」感を周囲に与えてしまいそう。

③ 続いてカンジンなのが、「裄丈」

長すぎたり短すぎたりはNG!(とくに短すぎは最もNG!)。これもちゃんと測ってね。

④ 次に重要なのが「カフス廻り」
袖口でフィットさせることを考えると、長すぎれば袖周りがもたつき、短かすぎれば腕を動かす際に運動量が確保されない。そのため突っ張った感じになって動きにくい。
上記の理由から土井縫工所では、エントリーラインから裄丈、カフス廻りが選べるようになっている親切システムなのでご安心を!!

(ただし、MTMやオーダー会などではボディ全体を調整することを前提としているためチェストが起点です)。

⑤スーツスタイルに合わせるには?

黄金比としては
・ラペルのゴージラインにシャツの衿の角度を合わせる
・ラペル巾とネクタイ巾を合わせる
これだけで見え方がだいぶ変わってきます!

⑥コーディネートとしては?

スーツが無地で落ち着いた色目の場合、シャツは色物、柄系
スーツが柄物の場合、シャツはシンプルに無地。
スーツの色柄と、逆を押さえればまずまちがいなし!
ネクタイはスーツ、シャツ、ベルト、靴などの小物どれかの色目に合わせると、
全体のトーンバランスが取りやすくなります。

以上、土井縫工所の清本 隆さんのアドバイスでした。

トーマスメイソンの底力や魅力を活かした仕立てで生まれる
土井縫工所のドレスシャツで、
この冬、自分史上ベストな英国式ダンディーを演出してみては?

*追記

「トーマスメイソンフェア」

2017/11/21(火)〜12/10(日)
土井縫工所
カスタムオーダー ¥16,000〜
MTM  ¥19,000

フェア開催中にご注文いただいたお客さまに、Thomas Mason 特製ノートをプレゼントいたします。
数量限定でなくなり次第終了いたしますので、ご注文はお早めに!
また、フェアの期間にご注文いただいたドレスシャツには、
Thomas Masonの刻印のある特製ボタンをお付けいたします。
この機会をお見逃しなく!!

トップ画像は、”Trade Mark & Store Design” Lupetti より。

日本で熟したアイビー・ルックと初冬のぬくもり

秋を通り越して、初冬のような気候です。
慌ててちょっと厚めのジャケットやコートを引っ張り出している方も多いのでは?
先日会った友人は極薄のダウンを着込んでいました。

そんな今日このごろ。
日本在住のアメリカ人ジャーナリストが書いた、
とってもおもしろい日本ファッション史の本に出会いました。
「AMETORA」(デーヴィッド・マークス 著 奥田祐士 訳 DU BOOKS)。
著者は、ハーバード大学で東洋学を学んでいたものの、
来日するまでは「アメリカ人が世界で一番クール」と思っていたそうです。
クールとは「カッコいい」とかそんな意味です。
ところが、日本に来てまわりを見渡せば、ワカモノたちはみんなオシャレ。
アメリカンよりジャパニーズの方が全然クールじゃん!
というわけでカルチャーショックを受け、
日本のファッションについて調べ出し、卒論まで書いてしまったそうです。

日本の青少年たちのファッションの夜明けは、
前回の東京オリンピック直前の頃。
戦後の日本が見事に復興を遂げ、先進国の仲間入りも間近!
という姿を世界に見せるために、なんとかしてこれを成功に導くため、
官民一丸となって全力をそそいでいた矢先。
銀座のみゆき通りにヘンテコな格好の若者が数百人も集まって、
たむろしているという事態が勃発しました。
襟にボタンのついたワイシャツを着て、
(当時、ボタンダウンはまだ一般に普及していませんでした)
ツンツルテンのズボンを履き、
中にはスネまでの丈のズボンを履いた者もいる。
若者たちは週末になるとみゆき通りに集まり、何をするでもなくたむろしている。
当時のおじさんたちに理解できなかったファッションは
『アイビー・ルック』というものでした。
そこでオリンピックに向けてヘンテコなワカモノたちを排除するため、
私服警官たちが彼らを大量に検挙して一掃したといいます。
少なくともオリンピックが終了するまでは、
みゆき族もおとなしくしていたようです。
あれから50年余り。
オリンピックの閉会式に首相がサブカルのシンボルであるマリオになって登場する。
今やサブカルは日本を代表するビジネスのひとつであり、
クールジャパンの担い手です。
今ならみゆき族も街から一掃されることなく、
ダイバーシティ、日本のシンボルのひとつとして
積極的に活用されていたでしょうに。
時の流れを感じさせます。
日本も世界も年を重ねて熟して来たといえます。

アイビー・ルックの故郷はご存知のようにアメリカです。
1954年、ハーバード大学をはじめとした8校でフットボール連盟が結成され、
各校が蔦(アイビー)をシンボルにしていたことから、
アイビーリーグと名付けられ、大学生たちのキャンパスファッションが、
アイビー・ルックと呼ばれるようになりました。
日本では1964年に創刊された平凡パンチが、
「アイビー・ルック」の特集記事を組んだのがブームの発端といわれています。
ボタンダウンのシャツに三つボタンのジャケット、細身のコットンパンツ、
ローファーを履いて、しわしわの紙袋を脇に抱える。
当時、アイビールックを世に広めた「VAN」のアイテムを着るのが、
みゆき通りに集まるワカモノたちのステイタスでした。
そのロゴを冠した紙袋を脇に抱えて持つという点を見ても、
紙袋さえカッコいいものに変身してしまうという、
当時のワカモノたちの憧れの強さがうかがい知れます。
当時の大人たちにヘンテコ扱いされたアイビー・ルックも、
今やメンズファッションの正統派です。

そもそも、この、ジャケットとボタンダウンシャツをベースにした、
アメリカの大学生ファッションである『アイビールック』を日本に紹介し、
当時のワカモノのファッションに革命をもたらしたのが、
ヴァン ヂャケット、VANの社長だった石津謙介(1911-2005)でした。
岡山の裕福な家に生まれ、確かな審美眼と天性の鋭い感覚に恵まれていた石津さんは、
第二次大戦後、米国東海岸の名門大学を卒業したアメリカ人兵士の通訳を担当し、
伝統的な大学生ファッションの魅力やスタイルを学んだといいます。
1950年代半ばにヴァンヂャケットを設立。
VANを通してもたらされるファッションアイテムは、
昭和30年代のワカモノたちの心を鷲掴みにしました。
戦後の混乱がようやく収まって、高度経済成長期にさしかかり、
これから新しい世界がはじまるんだという期待に満ちていたワカモノたちに取って、
VANをはじめとしたブランドのアイビールックはまさに新しい世代のシンボルであり、
ワカモノたちしか手に入れられない最強のファッション的武器であったはず。
それゆえ石津謙介は一人のデザイナーでアパレルブランドの社長であるというより、
日本のメンズファッションに革命をもたらした、
ファッションの神様といわれている存在になったのです。

“1965年には、長男の石津祥介、くろすとしゆき、長谷川元、林田昭慶の
4名で著したファッション誌「TAKE IVY」は、時を経て欧米のファッション関係者の間で
注目されるようになり、2010年にアメリカ合衆国において、アシェット婦人画報社から
英語版が出版され、翌2011年にはオランダ語版と韓国語版が出版された。
ニューヨーク・タイムズは2009年6月17日付の記事で「TAKE IVY」を紹介し、
” a treasure of fashion insiders “「ファッション関係者の宝」と評している”
(出典:wikipedia)

つまり、かつて日本に輸入されたアイビー・ルックは、
いつしか本国でもお手本とするべき規範がくずれてしまって、
今や、日本発の「TAKE IVY」をはじめとしたアイビー・ルックの解釈やスタイルが、
本国でお手本にされているというわけなのです。
昔ロンドンで、タキシードの際のリボンタイの結び方を、
その場にいたイギリス人の6〜7人の男の子たちは誰も知らなくて、
日本人の超おしゃれな男の子が指導していたことがありましたが、
やっぱり日本はあなどれないファッション先進国なのかも。

ところで、その本の中では、その後、ヒッピースタイルも含めて、
日本の若い男子のメンズファッションは、
常にアメリカ文化から影響を受けていたと著者はいいます。
一方、女子は確かに、常にパリやらロンドン、ミラノと言った、
ヨーロピアンスタイルを取り入れてきました。
そうして、アメリカ産のシャツやジーンズを模倣していた日本はそれを極め、
不朽の名作ジーンズ、リーバイス501のステッチの数さえ正確に数えて、
すべて本物そっくりに仕上げているうちに、
ついに日本人は、仕上がりもクオリティも追い越してしまった、
今や岡山を中心とした縫製工場で生産されるジーンズやデニム地は、
世界一だと著者は書いています。

ジーンズやデニムをはじめ、気づけば日本のファッションは世界をリードしていて、
世界中のクリエーターやファッションモンスターが注目しています。

いつ頃から、日本がファッションリーダーのひとりになったのでしょう?
はじめて訪れた70年代初期のロンドンでは、何も感じませんでした。
とはいえ、ブレイク直後のデビッドボウイの伝説のコンサートで彼は、
山本寛斎のポップ&近未来的歌舞伎イメージの衣装を採用していて、
それが、宇宙から来たロックミュージシャンというストーリーで展開していたボウイに
すごく似合っていました。とはいえ、パントマイムを取り入れたシアトリカルな表現を
用いるボウイだから、カンサイを選んだのであって、
まだ、一般的なロックミュージシャンや若い世代が、
日本のデザイナーやファッションをリスペクトしたり注目したりという
時代ではなかったと思います。
風が変わってきたのは80年代に入った頃。
ロンドンで出会う若い子達はほぼ全員、
日本のファッションやサブカルに興味を抱いていました。
みんながトーキョーに行きたがっていて、
遠路はるばるロンドンまでやってきている者にとっては、
へー、そーなの?みたいな複雑な気分。
なので帰国時には、過去2回訪れたロンドンから帰国する際には抱いたことのない
「トーキョーかあ、楽しみ!」という思いまで抱いたほどです。
その後はロンドンの友達から「子どもがドラゴンボールにはまったので、
なんでもいいからグッズを送ってくれない?」と頼まれたり。
かつて、日本と欧米の関係は、こっちから見ると近いけど、
向こうから見ると遠い、みたいな面があったと思います。
最近は同じくらいの距離になって来たような。
そして、熱心で緻密な調査と知的な考察で書かれたこの本を読んで改めて思ったことは、
「知ることは近づくこと」であるということ。
日本がリーバイス501を徹底的に研究して熟知し、近づき、やがて肩を並べたように、
何かにこだわって知り尽くすことは、進歩への大事なステップですよね。

かくして、VANがもたらした国産メンズファッションのポリシーと気骨は、
今も土井縫工所はじめ、国内の心あるブランドに根を張っています。

そんな土井縫工所には世界をリードするデニム地と世界に名だたる生産地となった、
岡山の縫製工場で産まれるデニムシャツのシリーズがあります。
起毛素材のアイテムは、初冬に嬉しい・優しいぬくもりで、
袖を通したとたん、身も心もおしゃれに暖めてくれますよ。

*追記

日本のワカモノたちがアイビーをはじめアメリカのファッションを取り入れ始めたのは、戦後のこと。
それまでの日本の洋装の歴史は、文明開化以降、フランスや英国といったヨーロッパのスタイルを取りれて発達してきました。1964年からはじまったアイビールックはその後アメリカンカジュアルとして日本市場に定着。メンズファッションの一部先端がアメリカンテイストからより英国やイタリアを意識しはじめたのは、1970年代頃からだったかも知れません。さらに、ヨーロピアンテイストで解釈したアメリカンカジュアルも、イマドキの失敗しないコーディネートのひとつです。

 

 

秋冬のおすすめ、フランネルシャツ!1枚でもジャケットインナーにも使える!

台風が多いせいか、9月に入っても蒸し暑い日が続いていましたが、
ふと気づけば朝晩は空気もひんやり。
寝る時はあったかい毛布が欲しいし
昼間は肌に優しい起毛素材が恋しい!という季節です。

こんなときにおすすめなのがフランネルを使ったドレスシャツ。

「フランネルとは、柔らかくて軽い毛織物のことで、略してネルともいう。
衣類、シーツと寝巻きに一般的に用いられる。
経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交互に織る平織りや
2〜3本おきに交互に織られる綾織りがある。
無地だけでなく、様々な模様が施される」。
(wikipediaより)

とうわけで、ネルシャツというと、ちょっとアメリカンでラフなイメージ。
が、フランネルと言われたとたん、いきなりヨーロピアンな風が吹いてくるよな
ハイグレードでドレッシーなイメージに変身。

土井縫工所では10月の幕開けを、このフランネル素材を使った
上質なドレスシャツのフェアでスタートします。
「Life style casual for fall and winter」と銘打ち、
これからの季節に備えたカジュアルスタイルにおすすめな、
ドレスシャツを取り揃えて提案します。

土井縫工所の使用しているフランネルは、
繊細な起毛がソフトに立ち、優しく肌に触れて、
抜群の手触りと着心地をもたらしてくれます。
また製品はいつもながら、これ1枚でもスタイリッシュな印象に仕上げられる
クオリティがありつつ、ジャケットのインナーとしてもスマートに収まってくれる。
この時期の気温差にも対応してくれる素材なので、
秋口のコーディネートにはすこぶる役立つドレスシャツです。

●気になるスタイリングのポイントは?

「あくまで『普通に』コーディネートに取り入れて頂ければと思います」
というのが、土井縫工所の清本さんのアドバイス。
まずは、同じく土井縫工所の土井さんのコーディネートスタイル。
一般的なオフィス向けスタイリングとしてぜひ参考に。
タイドアップでもきっちり決まるし、トレンドのネッカチーフを巻いてみたりすると、
より季節感と素材感が強調されてコーディネートの広がりが楽しめるとのこと。

「パンツの色をシャツの色と対比させると、コーディネートを完成させやすくなります。
たとえばネイビーのドレスシャツにチャコールグレーのスラックス、
ブラウンタイの組み合わせと言ったスタイリングもおすすめです」

● 一方、柄物のドレスシャツのスタイリングに関しては?
「素材感は申し分ないのですが、
色や柄のあるものは、コーディネートを考え過ぎてしまうと迷路にはまってしまうと思います。
実際にシンプルに着てみると、案外普通に使える!!というのが正直な感想です。
柄物のフランネルは素材の個性が強いので対比色でコーディネートすると落ち着きます。
写真のドレスシャツはトレンドでもあるオープンカラーなのでより個性が際立ちますが、
通常のカラーであればコーディネートもしやすくなります。
スーツに合わせるのが少し難しいという場合は、
ジャケットとパンツスタイルでのコーディネートだと着やすいと思いますので、
そちらを提案したいですね」

先日、北海道の黒岳では初雪が観測されました。
冬の足音がもうそろそろ、少しずつ聴こえ始める頃です。
肌寒くなる前にソフト&暖かいフランネルのドレスシャツで
秋冬の準備をはじめたいところです。

有楽町・阪急メンズ東京 1階に、土井縫工所の期間限定ショップオープン!

空の色や空気がすっかり秋めいてきました。
街をいけば、アパレルショップの中はもはや秋冬。
台風の多い今年は、気温は低いのに湿気が多く、
天候によっては汗ばむようなときでも、
新着のセーターやカーディガンを手に取る人が目立ちます。
暑さはもうたくさんという思いが、
よけい秋冬物を恋しくさせるのかもしれません。

そろそろ秋冬のスーツを意識して新しいドレスシャツが欲しい!
と考えている方に朗報です。
今、まさに土井縫工所が有楽町の阪急メンズ 東京でポップアップショップを開催中です!
イタリー製のカンクリーニやアルビアーテ、
英国のトーマス・メイソンやリバティといった上質な素材で
ドレスシャツを作りたいと思っていた方には絶好のチャンスです。

阪急メンズ 東京 1階、シャンデリアが輝くエントランスを入ってすぐの
メインの空間にオープンした土井縫工所の期間限定ショップ。
北欧調のファニチャーを配した空間づくりは、
同ブランドがこだわる上質な世界観を伝えるのもの。
テーブルやチェアなどは、国内外のデザイナーズ家具を扱う
インテリアのセレクトショップ、hhStyleの監修によって、
日本を代表する高級家具の製造元であるマルニ木工が手掛けたもの。
天然の木のぬくもりや柔らかみを感じさせる家具は、
どれもみな職人さんたちが丹念に作り上げた上質なもの。
完璧に美しいフォルムを保ちながらも座り心地は抜群で機能的。
それが、ミリ単位の縫い目までこだわり、
上質かつ着心地抜群の製品を作り続けている
土井縫工所のスタンスや世界観とマッチして、
その結果、上質でありつつ暖かみのある空間になっています。

店内には生地見本とともにドレスシャツのサンプルも展示されていて、
できあがりの印象も実際に確認できるので、
オーダーする際の助けになります。

これまで土井縫工所のドレスシャツをウェブで注文したことがある、
あるいはウェブで見ていて注文したかった、
という方は、店頭で実際に生地を見て、サイズや衿のことなど
スタッフに相談しながらオーダーできる絶好のチャンスです。
自分ピッタリの仕様になるよう注文するには、
どうしたらいいのか、いまいちわからなかったという方にもおすすめ。

人の体は千差万別なので、自分にピッタリのシャツを探すのは至難の技。
どこかが合えばどこかで妥協するということも多いのでは?
この機会にぜひ、自分の動きによりそって支えてくれるドレスシャツを
手に入れてみませんか?
オーダーシャツの知識にたけた、
スタイリッシュなおかつ、心優しいスタッフたちが、
一人ひとりのお客さまに最良のドレスシャツを調えるお手伝いをしています。

期間限定のポップアップショップは、9/26(火)までの開催です。
週末の予定にちょっと加えて、土井縫工所の世界観を味わってみてください。

「土井縫工所 pop up shop 9月26日まで!」

阪急メンズ 東京 1階 イベントスペース

☎03-6252-1381
東京都千代田区有楽町2-5-1
アクセス:JR有楽町駅 銀座口 徒歩1分
地下鉄銀座駅 C4出口、地下鉄日比谷駅 A0出口

 

秋はブリティッシュな味わいで


真夏もそろそろピークを越え、朝晩の気温は少し落ち着いてきました。
残暑もなお厳しさが予想されますが、
もうすでにココロは秋、というのが、服的感情ではないでしょうか?

秋のスタイルといえば、やはりシックで落ち着いたライン。
渋い英国調などを思い浮かべる方も多いのでは?
そう、タイミングよく、9月の土井縫工所のテーマは「British Style」です。
英国調のスタイルといえば、永遠の定番にして王道といえる
「クレリックシャツ」が、このたびのテーマ。
クレリックシャツは衿とカフスのみホワイトというのが特徴で、
エレガントかつ気品の漂う雰囲気を演出してくれます。
そして、ホワイトの衿と合わせるボディの生地がキーポイントとなります。
この選び方によって、エレガント要素が増したり、
あるいは遊び要素が効いてきたり、
また色鮮やかなイメージを醸し出すこともできます。
衿のデザインは「ワイド」、
もしくはクラシカルな「ラウンド」の2型からチョイスできます。

では、ワイドとラウンドではフォーマル度にどのうようなちがいがあるでしょうか?
よりビジネスに向いているのは? 
スタイリングからいえば、どちらも同等のスタイルでとくにちがいはありません。
ただ、ワイドのほうが若干凡庸性が強く、ビジネスには最適といえます。
ラウンドはクラシカルな雰囲気を出したいときにおすすめ。
一般的に際立ったラウンドだとあまりオフィスで見かけない印象がありますが、
今回のラウンドに関しては、ワイドをベースにしたもので、
衿先もワイドの角が少し取れたという印象の柔らかさが特徴。
極端なラウンドではないのでコーディネートしやすいといえます。

今回はクレリック+ストライプ(ボディ)の組み合わせが提案されています。
いかにも英国調で凛々しく爽やかなイメージ。
その凛々しさの奥から、男の色気がそこはかとなく漂ってくる。
決してラテン系のムンムンではない色気を狙いたい方には
これ以上ないアイテムといえます。
合わせるスーツの色調は、シックにネイビーやグレーの無地、
もしくは同系色のストライプ、ウィンドーペーンなどでまとめると、
より英国的な、クラシカルで清潔な雰囲気のスタイリングになります。
柄on柄にしてしまうとラテン系テイストになってしまって、
とたんに大陸的で開放的、パスタの湯気感が出てしまいますので、
そのスタイリングの魅力はこの際置いておいて、
今回は渋めのアングロサクソン系テイストで攻めていただきたい。
あくまでも、島国的律儀さと繊細さ、濃い紅茶の香りを意識してみましょう。
またトレンド色である深いブラウン系の無地スーツなどと合わせると、
将来を期待されている英国の若き大学教授的な、
気品とスマートさが演出できそうです。
このラインからすると、足元は茶系の靴を選んでしまいがちですが、
ここはあえて黒靴のプレーントゥもしくはブローグを合わせて、
あくまでも英国的な雰囲気でコーディネートしていただければ。
この秋冬の服装計画はクレリックシャツとブリティッシュスタイルで
優雅にスタートダッシュしてみてください。
以上、スタイリングのアドバイスは、
土井縫工所担当スタッフの清本 隆さんのお話を元にしました。

今回の「クレリック・フェア」では、
クレリックシャツにピッタリなストライプ系の生地がピックアップされています。
さらに新しい衿型も2種類用意され、9/1から定番の仲間入りをします。
また、9月上旬〜9/30(土)の期間中は、
「クレリックオプション」を無料で選べるとのこと。
今回はWカフスも無料オプションで選べるのでお得です!!
クールビズも落ち着き、
コーディネートの幅が広がる秋からのスタイリングにピッタリなBritish Style。
クレリックシャツファンもクレリックデビューを目論む方も、
ぜひこの機会に選んでみてください。

 

 

気がつけば、マハロ!

おあつうございます。
夏休みですね。
あなたは旅行派?帰省派?それとも、混雑や行列が苦手な近場のんびり派?
普段はそっち派のワタクシですが、
先日、ひょんなことからハワイに行ってきました。
日差しは強いけれどカラッとしていて、
ヤシの木陰では涼しい風が吹いています。
日陰でもじっとり汗ばむ日本の夏とは、
いささか異なる夏環境でした。
というわけで今回はハワイデビューの話です。
あの街を知り尽くすハワイのプロの方には、
アマチュアのたわごととしてご笑覧いただき、
ハワイ、いつか行ってみてもいいかも、と思っている方には、
アマチュア同士の体験談としてご笑覧いただければ幸いです。

●まず最初のチョイス、ツアーか、個人旅行か?

先にハワイ行きを予定していた身内につられて、
出発2週間前にいきなり行くと決断。
とにかくリーズナブルに行くには、
ホテルとエアチケットだけを予約する個人旅行がベストですが、
今回は私にとって初ハワイ。
現地の様子がわからないので、とりあえず、
格安ツアーを探しました。
添乗員はいませんが、何か問題があれば、
現地の提携会社が対応してくれるシステム。
で、蓋を開けてみれば、滞在中とくになんの問題もなく。

【教訓】
治安も交通の便もいい場所に行くならツアーじゃなく、個人旅行でよさそう。
先日のJTBの発表でも、ツアーより個人旅行が多くなったとのこと。
Expedia とかの旅行サイトで、AIR+HOTEL で探せば、ワイキキ5〜6日間なら、
日本国内の遠方への旅行くらいの料金。気軽にワイハ〜に行ける時代なんですね。

●航空会社は国産? それとも海外LCC?

ツアーやエアチケットを選ぶとき、
判断基準のひとつになるのが航空会社です。
LCC(格安航空会社)でよくあるのは
中国とかアジア系の会社がもっともローコスト、
でも飛行時間が長いのが難点。
ハワイアン航空はLCCより割高ですが、
羽田からホノルルまで直行で8時間弱。
これはありがたい。
ANAやJALも直行でさらに割高ですが信頼性が高いのも事実。
とりあえず値段とフライト時間の兼ね合いで選ぶのがいいかも。
私のツアーはハワイアン航空でした。
ネットでは「機内食に期待するな」という書き込みもありましたが、
ロコモコやグリーンカレーのディナーも
朝食のサンドイッチも美味でした。
人気のホノルルクッキーもついていたし、
パイナップルジュースもさすが本場の味!
往路のヨーグルトはなぜか雪印「牧場の朝」でしたが。
それにしてもハワイアンエア、座席の狭さはかなりのもの。
おチビの上、足もショートな私でもきついのだから、
背が高くて足の長い人にはハードな飛行かも知れません。
通常はチケット予約後にホームページで座席が選べるので
非常口脇の席を選ぶとスペースがあり足が伸ばせると思います。
あるいは、格安な中国航空を選んで、
ビジネスにグレードアップしてゆったり行く、という知人もいました。

【教訓】
ハワイアンエア、乗った瞬間ハワイアン!
男性スタッフはアロアシャツ着用。
リゾート感、ホリデイ感が盛り上がります。
酸素マスクや救命衣の説明などの「安全ビデオ」は、
ハワイの自然をバックにした歌ありフラありの仕様でした。

●空港はローカル色満点

夜、羽田を出て一晩経った、約8時間後にホノルル着。
それなのにそこは日本より19時間遅い、いわば昨日の朝。
ココロは戸惑っているのに、スマホは世界時計によって、
瞬時に現地と合致します。
便利な世の中になったものです。

ホノルル空港といえば、
豊満な胸にレイをかけた美女が群れをなして
「アロハ〜」と迎えてくれるような、
派手でパーティーピーポー的な
雰囲気や風景を想像していたのですが、
「え?案外、地味で素朴」という印象。
どこか日本国内の南国の空港に来たようなローカル色が漂います。
髪にハイビスカス、胸にレイをかけ日本人観光客を迎えているのは、
推定年齢60代後半の日本人女性のツアーガイドさんたち。
ツアー名のボードを持って大勢立っているので、
日本の南国の温泉地のようなムードが一層増し、
いきなりほのぼのします。
この素朴なところがいいのかな?と思いました。
年末年始に芸能人がワイドショーのカメラに追いかけられるのは
こんなローカル色豊かなところだったんだと認識。

●未知の街を手の平に!Google map のパワー

送迎バスで一路ワイキキへ。
東京で羽田まで乗った空港リムジンの快適な乗り心地と比べ、
ホノルルのバスは車も道のコンディションもイマイチで、
振動で全身がブルブル震えます。
遠くに見える山々は濃い緑におおわれ、
南国の植物の野性的な勢いや雄々しさに圧倒されます。
バスは宿泊先に送ってくれるものと思っていたら、
着いたのはダイアモンドヘッドにほど近い、全然知らないホテル。
そこでハワイ滞在に関する
「街は禁煙、街なかに公衆トイレはあまりない」
などの簡単なレクチャーがあり、
スーツケースはホテルに運ぶけれど体は各自でホテルに行けと。
マジか?生まれてはじめて来た外国の街で、
いきなり放り出されてしまいました。
とりあえず熱帯植物に囲まれたホテルの中庭で
長椅子に寝転がり、一旦、昼寝をしようと試みるも、
自分的にホームレスなおばさん感が否めません。
しかもやはり気が高ぶっているのか眠れません。
ぼーっとしつつどこか覚醒している。
これがほんとのトリップですわと思いつつ、
生まれてはじめて歩く街に一歩を踏み出しました。
近くにある店で水と日焼け止めを買い、
ワイキキのメインストリート、カラカウア・アヴェニューに立って、
青い空とヤシの木、静かにさざめく青い海を眺めながら、
一心不乱に日焼け止めを塗りたくっていると、
斜め前に立っている二人組の若いストリートミュージシャンが
「♪ オレラこんな一生懸命ラップしてるのに、
外国の観光客は全く気にもしてないぜ、知らん顔だぜ」
とかなんとか英語でラップしていました。
ビーチ沿いの道を歩いて、ホテルに向かいます。
こんなとき実に便利なのがgoogle mapです。
自分がどこにいるかすぐにわかる。
デジタルデバイスの進化は世界の街歩きを革命的に変えてくれました。
全く知らない異国の街でも、
はじめて歩く近所の街くらいの感覚で歩ける。
それでもこれが深夜だったら、
タクシーを頼んだほうが安全かと思います。

●ハワイめしは美味でボリュームたっぷり

ワイキキの街を歩きながら最初に入ったレストランで、
チャイニーズとおぼしきウエイターのナマリの強い英語を
必死で理解しながら注文したチャーシューフライドライス。
そのひと皿でハワイの洗礼を受けました。
デカ過ぎる!! 
皿は直径40cmほど、日本でいえば「大皿」のサイズ。
そこに余すことなく盛られたライス&チャーシュー。
これ、3人前?
もちろん残しました。
するとスタッフのおねーさんが「持って帰る?」と言って、
ていねいに包んでくれたので持ち帰りました。
ランチもディナーも1000〜2000円くらいの店が多く、
あの量で?!と感動。
その後、どんな店で何を食べてもほぼおいしかったのですが、
ボリュームのたっぷりさも別格。
さすが、日本とは桁違いの太っちょさんが多い国だと納得。

●部屋の向こうに海!!でも戸が開かない!!

このツアーを選んだ決め手のひとつが
ホテルの部屋がパーシャルオーシャンビューだったこと。
「部分的に海が見える」という意味ですが、
実際にチェックインしたら予想以上の海の眺めでした。
目の前にある老舗ホテルのコロニアル風の建物の向こうに広がる、
真っ青な空と海。
ヨットがゆっくり、滑るように移動して行きます。
なんという優雅な眺め、久しぶりののんびり時間。

感動のあまり、ラナイ(ベランダ)に出ようとしたら、
ガラス戸が開かない! 
ガタピシと格闘することしばし。
腕をくじきそうになりました。
要するにガラス戸が重い上に動きが硬いのです。
これはその後、何度も同様の事例に出会いました。
トイレのドアがちょっとやそっとじゃ開かないとか。
ハワイの建具は日本とちがって、重量も動きも重いので要注意。
やっとガラス戸が開いたときはもう疲労困憊でした。
でも、波音が聴こえて、窓から海が見えるって、
なんという豊かな景色なんだろうと改めて感激。
しかしガラス戸はなんとかならんものか。

●ショッピング in ハワイ

【Rich 派におすすめ】
アラモアナショッピングセンターやカハラモールといった
人気のショッピングセンターには海外高級ブランドから、
ファストファッションまで勢揃いしていますし、
ワイキキのメインストリートに並ぶショップやSCも同様ですが、
日本から行けばさほど珍しくもなく。
H&MやZARAなどのグローバルブランドの店では、
日本と同じ商品が並び、中国語や日本語、韓国語などの言語が飛び交っていて、
それも日本と同じ。地球はある一面、すっかり均一化しているのだと再認識します。
ブランド商品の値段も日本と変わりませんが、
ハワイ限定品や、日本で柄やサイズがなかったものなどが探せます。

【中間層におすすめ】
ワイキキから車で30分ほどのワイケレにあるプレミアム・アウトレットは、
日本人観光客にも大人気のショッピングスポットです。
広い敷地内に約50の海外ブランドやセレクトショップ、
デパートのアウトレットが軒を連ねていますが、
値段は、ひとつ前のコレクションの商品が定価の20〜30%OFFくらい。
平均して、日本のセールのスタート時くらいの設定ですね。
でも中には底値をつけたものや、
日本に入っていないアイテムなどの掘り出し物もあるので要チェックです。

【エコノミー派におすすめ】
とにかくアメリカの雑貨が好き、スーパーマーケットが大好き!
という人にとってハワイは天国。
スーパーでいえば、「Walmart」や「Safe Way」、「Food Land」は、
ひたすら広大で商品の種類や数も膨大。
アメリカの底力を感じます。
オーガニックの食材に特化した Whole Foods Marketや、
独自のファストファッションも展開する、
ニューウェーヴな生活用品ディスカウントチェーン TARGET、
などなど、アメリカン雑貨に目がない人にはたまらない店が揃っています。
ちなみに人気のスーパーが一同に介しているエリアは、
ワイキキから車で30分ほどのカイルアという街。
ここのビーチは隣接するラニカイのビーチともども美しいことで知られ、
人呼んで「天国の海」なんだそうです。
マリンスポーツのアクティビティも楽しめますが、
私はもっぱらスーパーとカフェめぐりで、天国そっちのけでした。
ハワイはコーヒーが有名ですが、紅茶も濃くていい香りのものが多く、
スーパーの紅茶売場のラインナップも膨大。
紅茶マニアとしてはそれこそ天国でした。
カイルアにはバスの送迎のみの
「街歩き5時間」というオプションツアーで行ったのですが、
慣れてくれば路線バスでも簡単に行けそうです。

●ハワイで何を着るか?
路行く人は圧倒的にTシャツ、短パン姿です。
そこにときたま交じるのがシャツに短パン、
または七分丈パンツの日本人。
麻やコットンのピンクやブルーのカラフルなシャツは、
南国の日に映えてスタイリッシュです。
アラモアナショッピングセンターなどで買い物している
ファッショナブルな男性はたいてい日本人かイタリアン。
奥サマや恋人の買い物に気長につきあって見守っているところが、
さらにダンディな感じ。
とはいえ奥サマの買いっぷりがハンパない人も目立ちます。
ハワイのショッピングセンターは、
謝罪ツアーのメンズで溢れているのかも?

そんなこんなのハワイ旅行は、
弾丸日程で、あっという間に終わり、
気がつけば羽田に帰り着いていました。

ともあれ、これまではハワイマニアに対し、
何がよくて何度も行くんだろう?と理解できずにいたのですが、
今はよーくわかります。
あの日差しや空気感、街の雰囲気、ビーチの楽園感。
愛想のいい店員たち、野菜たっぷりなプレート類、サイズ豊富な洋服、笑。
あの別世界感が恋しくて、何度も行ってしまうんですね、きっと。
裸に近いカッコの人が多いせいか、
ヨーロッパや日本にはない開放感があり、
自分自身や日常のアレコレをリフレッシュ、リセットできるような気分になる。
気がつけばすっかりハワイ中毒に感染していました。
アロハ〜、マハロ〜!が恋しい日々です。
(マハロは、ありがとうの意味)

*写真は、トップがワイキキビーチ、下の2枚は、アラモアナ・ショッピングセンター。
ハワイのSCはスペースがゆったりしていて、吹き抜けが多様され、グリーンもたっぷり。
そして、その中にある帽子屋さんのディスプレイです。

デニムでキメる、上質ドレスシャツスタイリング


ここはもはや亜熱帯では?と思えるほどの
ニッポンの夏ではありますが、
経済大国の我が国の都市では、
クールにビジネスを遂行しなければなりません。
おなじみのクールビズは環境保護の視点から、
エアコンの温度設定を高めに設定することを推奨し、
それゆえ、ノータイ&ジャケットのカジュアルウェアで
涼しく仕事しましょうというのが国のお達しです。
毎年、クールビズ開始日は閣僚や環境省の職員が、
かりゆしやアロハ着用でアピールするのが風物詩になっています。
ところが職場によっては、許されるのがノータイくらいまでで、
ジャケットは着なければね、という会社も多いのではないでしょうか?
先日、某広告関連の企画会議に出席したときのこと。
会議室が某役所だったので、当然、エアコンの温度設定は高めです。
クライアントであるお役所の男性職員の方々は全員ポロシャツや半袖シャツ一枚で、
ハーフパンツの方々もいらっしゃいましたが、
広告代理店の男性社員は全員ジャケット着用。
2時間あまりの会議で全員汗びっちょり状態となり、
会議室を出たときの彼らの顔はさながらお風呂上がりでした。
このクールビズというお達し、
できればコンセンサスを統一して欲しいですよね。
ノータイ・ノージャケットなんて、
役所は現実的にOKだけど、一般の会社は現実的に無理だよね、
という内容では、異種混合で協同する際に無理が生じるような気がします。

さて、クールビズが意味するところはエコであり、
エアコンの設置温度がキーポイントであります。
つまり、高温の中でもクールにビズするために
ノータイ、ノージャケットにしようよ、という考え。
でも、ここでひとつその考えは変えて、
涼しげなコーディネートを意識することで、
クールにビズしようというのが土井縫工所の考え方です。

8月1日からオンラインに登場する新企画がデニムのドレスシャツです。
これまでもデニムは扱っていましたが、
今回は新作の素材も加わり、
よりパワーアップしたラインアップとなっています。

まず、少しカジュアル色のあるデニムだけに、素材選びが肝心です。
上質な素材と縫製による高品質なデニムのドレスシャツは、
イタリアをはじめヨーロッパのおとなの男の上品な艶を感じさせます。
このデニム生地のメーカーは、イタリアのALBIATE(アルビアーテ)。
1830年にイタリアで創業した老舗テキスタイルメーカーです。
製糸から染色、それを織物にする製織までを一貫して、
同社で生産できる設備を備えた工場を持ち、
高品質でトレンドを押さえたスタイリッシュな素材に定評があります。
2000年にはイタリア3大生地メーカーのひとつで、
巨大老舗ブランドのAlbiniグループに加わりました。
Albini 社にはほかにも世界のトップブランドであるトーマスメイソンや
DJA(ディビッドジョンアンダーソン)なども加わっていますが、
その中でもALBIATEは、デザイン性の優れたテキスタイルブランドとして位置づけられています。
同社のデニムコレクションは、
光沢と耐久力に優れたインディゴ糸を使い、
最も細い糸番手では120/2にも達します。
そのおかげで見た目の高級感や、繊細できめ細かい風合いはもちろんのこと、
色むらの美しいインディゴブルーのメランジ糸によって生み出された色調や、
最新のトレンドが反映されたジャカード・サテン織など、
ほかにはない個性的な表情が特長です。

上の写真が今回のデニムコレクションの第一弾ラインナップ。
夏場から初秋のスタイリングに、
クールな雰囲気をもたらしてくれる頼もしいアイテム揃いです。
今回も、土井縫工所のメインスタッフ、
清本 隆さんと、土井統治郎さんの、
スタイリング提案をお届けします。

ちなみにテーマは「デニムシャツのタイドアップ」と「定番カジュアル」。
どちらもカジュアルではありますが、
よりきれい目なスタイリングと、
スーパー定番カジュアルでスタイリングに差別化を図ってみました。



【写真】
タイドアップスタイル:
「デニムなので素材はカジュアル感強めですが、無地を選べば、
通常のジャケパンスタイルにすんなり落とし込めます。
またあえて『デニム』を持ってくるという所で、
ほどよい抜け感がありつつも、
上質なデニム素材の加工による視覚効果で、
イタリアンテイストのある洒脱な着こなしを演出できます」

BDカジュアルスタイル:
「こちらはド定番のカジュアルです。
『デニムオンデニム』ですが、ブリーチ加工のシャツと濃いめのパンツで
濃淡を出しメリハリを効かせています。
また写真で使用しているようなネックチーフや、
同色もしくはブラウン系のサスペンダーをアクセントで使用するのもいいかと思います。
今回はベルトを使用せずワントーングラデーションのイメージにしてみました。
ベルトを使うなら定番ブラウン系もしくは同色でゴールドのバックルなどがいいかと思います」

デニムのドレスシャツでもアメリカンカジュアルなテイストではなく、
ミラノの街を闊歩するイタリア男の粋なダンディさが感じられるテイストになっています。

デニムバッグ:
8/1(火)のALBIATE Denim 製品の販売開始に合わせて、
同デニム製品をご注文いただいた方に、
一度のご注文に付き、ALBIATE Denim Official Bagを一枚プレゼント!!
数量限定品で、なくなり次第プレゼント終了となりますので、この機会にぜひ!
上質なデニム素材を使った、使いやすいサイズのトートバッグで、
イタリアンぽさのあるポップなプリント仕様。
サブバッグやプライベートに大活躍します。

涼しげ&きっちり・クールスタイリング


相変わらず暑い日が続いています。
先日、北海道で37度を記録し、
その日は沖縄より北海道の方が暑かったとか。
もはや列島に避暑地なし?
南国や北国の意味すら一変させる、この異常気象、
もはやこれは異常ではなく、常態化しているのでしょうね。
何百年も続いて来た環境が
「これまでに経験したことのないような豪雨」(気象庁の表現)、
いわゆる記録的短時間大雨などの影響で一日にして変わってしまう。
今更ながらとんでもない世の中になってしまったと思います。

東京や大阪はじめ、日本の都市の夏はもはや亜熱帯のような気候です。
気温が高い上に湿気が多いため、日陰でも暑い。
昔からここまで暑い国だったら、
ニッポンという国は、今とちょっと違うお国柄になっていたのでは?
とすら思えます。

そんな猛暑のさなか。
クールビズが推奨されていますが、
職場や職種によってはジャケットやタイ着用が、
暗黙のルールというところもあるのでは?
(前回のコラムの石破さんのように自主的にされている方も含め)
エアコンが効いた屋内ではまだいいけれど、そのまま外を歩いたりすれば、
ジャケットを脱いでも一瞬で汗だくになってしまいますよね。
だとしても、人前では涼しげな顔をしていたいもの。
ジャケットにタイドアップでドレスアップしながら、
いかに人から見て涼しげにいられるか?
それが、今やセミトロピカルなニッポンの夏の課題ですね。

先日、「土井縫工所」を運営するスタッフの方々とお会いしたときに、
おふたりともジャケット着用でタイドアップしていながら、
足元を見ればいかにも軽やかで涼しげ。
この一点で足元から全身へとクール感がもたらされているのですね。
本人も涼しく見た目も涼しげ、なおかつきちんとしていてスタイリッシュ。
そのコツは足元にあり!という感じでした。
近頃、イタリアンテイストのメンズファッションの中で
若い世代を中心に市民権を得てきた
ボトム丈を短くしてくるぶしを見せるスタイリング。
この季節には本人も涼しく見た目も涼しいというわけで、
まさに一挙両得です。
とはいえ、一歩間違うと野暮になってしまうので、
スタイリッシュな「足元スッキリ的コーディネート」のポイントを聞いてみました。

【パンツ】

裾幅に関しては、少し前まで、17cm程度と細めだったものが、
今年は18〜19cmと若干太くしたほうがトレンド感が出ます。
同時にヒップまわりも少し余裕を持たせたものが今年の雰囲気です。
タックを入れたものや、タックのないノープリーツであっても、
腰まわりがこれまでより少しワイドになっているのが今年のライン。
丈が短いのはそのままで、股上が以前より深くなっているのも特徴。
よりクラシカルでリラックス感が加味されたスタイルといえます。
そして日本の夏には最適なシルエットです。

【シャツ】

肌にぴったりと吸い付くような細身のものより、
少しゆとりのあるシルエットのものを。
なおかつきっちりドレスシャツで、
カッタウェイよりワイドが今年の気分。
リネンはじめ、コットンや鹿の子など、
カジュアルな素材のドレスシャツを着るのが
夏のスタイリングのポイントです。

また、汗をかいたあとのシャツは、汗臭さに加えてシワも見苦しいもの。
リンクルフリーなどの機能素材を使ったシャツだとシワにならず、
きれいな状態をキープでき、スタイリッシュに見えます。
機能素材はシャツのケアも楽なのがうれしいですね。
インナーには速乾性やクール加工を施した素材のものを着用すると
快適な着心地に。
また、汗を拭くにはハンカチよりデオドラントシートがおすすめ。
汗やにおい、皮脂汚れを拭き取って肌のサラサラ感を保ちつつ、
クール感のあるミントやレモンなどの香料を含ませているものもあるので、
汗臭さをカバーしてくれます。

【靴はローファー系】

コインローファーはカジュアルテイストが強過ぎるので、
タッセル付きなどを選んでフォーマル感をキープします。
レースアップシューズを選ぶ場合は、ローファーのときよりは、
ボトムの丈を気持ち長めのものを合わせましょう。
ちなみにレースアップの場合は外羽根をチョイス。
よりフォーマルな内羽根より、
少しカジュアルなコーディネートに向いています。

【ジャケット】
軽い素材のものを選び、軽快感や清涼感を意識することがポイント。
コットンジャケットよりは薄手のリネンのほうが風通しがよく、
さらに「一番涼しいのはサマーウール」とのこと。
ウールを細く撚って織った素材ですが、
コットンのようなベタつき感がなく、吸湿性は抜群。
それというのも、ウールは吸収した水分を蒸気として
放出する特質を備えているらしく、
さすが元は羊ですから、暑さ寒さから身を守るための
天然の繊維ならではの機能があるといえます。
しかもコットンよりは上質でフォーマルな素材なので、
きっちりしたいなら夏こそサマーウールのジャケットを。

【タイ】
いくらクールビズとはいえ、職種や職場によって、
あるいはビジネス上の大切なシーンでタイ着用がマストの場合も。
とはいえ、見た目のスッキリ感はなくしたくない。
やはり、コットンや麻、シルクなど清涼感のある素材を選びたい。
色目や柄などでよりクール感を演出しましょう。

さてさて、ドレスアップの敵ともいえる昨今のニッポンの夏。
だからこそ、腕の見せどころ・工夫のしどころと言えます。
「着ても・見ても・涼しげ&きっちり」な、
クールビズならぬクールスタイリングのコーディネートで
ビジネスウェアの夏バテを防いでくださいね!

*写真は、土井縫工所のスタッフのお二人。
さすが!
偶然、揃ってシャンブレーのドレスシャツとネービーのジャケットですが制服ではありません。
それぞれ少しずつ異なるデザインの別物。
シャツはこの時期に着やすい薄手素材です。
ネイビーのジャケットはコーディネートしやすく着回しがしやすいので、
季節ごとに素材やシルエットを替えていくつか持っておくと便利です。
コーディネートのディテールはこちらで。

文・堀井美智子